#1
【作者より】
本日より新章とともに連載再開です。
よろしくお願い致します。
†
case3
30歳女性。
職業は「NICU(新生児特定集中治療室)」に勤務している看護師。
「マタニティハラスメント」に悩まされている。
わたしは看護師として働いている30歳。
専門学校を卒業したあと、新卒として有名大学付属病院に入社して早9年目。
配属されている部署は入社当時からずっと小児科の「NICU(新生児特定集中治療室)」。
最近はつわりが出てき始めたため、肉体的に負担にならない作業や夜勤を除いた日勤だけの勤務にしてくれているので、妊婦である私にとっては、それだけでも十分助かっている。
しかし、一部の人達からこう言われるようになった。
「なんであの人だけ」
「1人だけ楽してる」
わたしはその言葉を聞いただけで精神的に嫌になるようになったのだ。
「マタニティハラスメント」、略して「マタハラ」。
妊婦に対する肉体的、精神的な嫌がらせを指す。
「……やばい……つわりが……」
わたしはつわりがきてしまい、ソファーベッドに腰かけた。
ゆっくりと深呼吸をし、落ち着かせようとする。
「はぁ……早く子供を生んで、育休が終わったら、少しブランクになっちゃうけど、仕事と子育てを頑張らなきゃ……」
その時、「無理をしてはいけませんよ?」と見知らぬ男性が私の声を聞きつけて姿を現した。
「誰!? どこからきたの!?」
わたしはその男性がいる方向を見ようとする。
「先ほどつわりがきた頃からです。私はあなたの担当医となる者です。きちんと医師免許を持っていますので、ご安心ください」
彼はわたしに医師免許を見せて安心させる。
その時、わたしは「よかった……無資格医じゃなくて……」とそっと胸を撫で下ろした。
2017/09/24 本投稿




