表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/51

#7

 私は今日の職場の様子を執事くんがこっそりと視察が終わった。

 家に着いた時、私の中でふと思ったことがある。


 私の職場の現状を知った彼は一体全体どう思ったのだろうか?

 それを見ていろいろな意味で変だと思ったのだろうか? と――――。


「今日、視察してみてどうだった?」

「いろいろなところで引っかかる点がたくさんありました。いくつか言ってもよろしいですか?」

「ん、いいけど……」


 最初に私が執事くんに問いかけたが、彼から気になったことを言ってくるとは思ってなかった。


「まずはお昼の休憩時間ですが、あまり取れていませんか?」

「確かに取れてない。今日もお昼ご飯を食べることができなかったもん」

「そうですよね。そうでなくてもゆっくりと昼食(ランチ)を召し上がる時間だけでも取れるとベストですよね」

「うん。他には?」

「次に就業時間。本来の始業時間と就業時間は何時ですか?」

「始業時間は8時30分から17時30分まで。8時間労働」

「ちなみに本日は8時30分から23時過ぎでしたね。それなのに残業代はあまり支払われないのは変ですよね?」

「確かにおかしい――――」


 こうして執事くんから様々な質問に答えていくうちに私の職場の粗が出てきているような気がする。

 彼は本当に視察してきたものを純粋に私に問いかけたのだ。


「今更だけど、明日の朝1番で労働局に電話してみようかなぁ……」

「いい考えだと思いますよ?」

「いずれは監査が入って引っかかるところを洗い出されるんだもんね! よし、お風呂に入って寝るか!」

「お嬢様、夕食(ディナー)は……?」

「今日はいらない! 明日のためにいっぱい寝なきゃね!」

「承知いたしました……」


 私は冷蔵庫のドアを開け、夕食を作り始めようとした執事くんを放っておいて、お風呂の準備をし始める。

 一方の彼はそのドアを閉め、キッチンを後にした。



 †



 お嬢様が夕食を食べずにお風呂の準備をし始めた頃、僕は「あっ……」と内心、焦っている。

 先ほど彼女は「明日の朝1番で労働局に電話してみようか」と言っていたが、そのことについて言い忘れたことがあった。


「お嬢様が就業中に労働局の方に連絡をしたことを伝えることを忘れてた!」


 それは「超」という字をたくさんつけなければならないくらい重要なことなのに……。


 今からお嬢様のところに行ったら確実に怒られると思われる。


 そのネタばらしは「復讐」という名の「監査」及び「裁判」に入る前に彼女に伝えるとしよう。


 絶対に――。

2016/04/06 本投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ