#4
今はそんなことを忘れて、久しぶりの手料理の晩ご飯を堪能しよう。
本当に彼の作った料理は私のお母さんが作ったものと同じくらい美味しい。
「お嬢様、お気に召されましたか?」
「ええ。とても!」
「ありがとうございます。そう言っていただけると、僕も作り甲斐があります」
「いつも料理を作るのってかなりの根気が必要だからね。仕事の帰りは遅いから、スーパーは閉まっちゃうし、荷物が多いと持って帰るのが億劫になっちゃうし、コンビニ弁当で済ませちゃうんだよね……」
「そうですよね……」
私が愚痴をこぼすと、相槌を打ってくれる執事のような彼に恋に落ちそう……。
今は仕事に集中しなきゃ!
「ところで、あなたはなぜ、私のところにきたの?」
私はついに今まで訊きたかったことを彼に訊いてみた。
「僕はですね……お嬢様のところになってきた理由はあなたが「ブラック企業」で勤めていらっしゃるようでして、僕に何かできることはないだろうかと考えた末のことです。しかし、僕には……」
その話の前半は私も言ってたことだから納得。
、まさか私のことを考えてくれているとは思っても見なかった。
「僕には?」
「僕にはやらなければならないことがございます」
「それは……?」
「現代って闇だよな……って思ったことはございませんか?」
「うん、あるよ。山のようにたっくさんあるよ」
「ならば、僕と契約しませんか? 今なら復讐のお手伝いもさせていただきますよ! あとはお嬢様が復讐するまでの間は家事はサービスですべてこなさせていただきます」
なんだなんだ……!?
なんか最後の方は宣伝で遠回し感が満載なんだけど。
「復讐」って何!? 「復讐」って……!?
「いや、復讐のお手伝いって……」
考えてくれているとは言っても、「復讐のお手伝いも」というものはいらない。
「どうされました?」
「「復讐のお手伝い」はいらないかなぁ……」
「「ブラック企業」に勤めていらっしゃるお嬢様ですから、どうしてもそれもサービスに含まれてしまうのです。仮契約を結ぶことができますが、どうされますか?」
「確かに私はブラック企業に行きたくないしね…………「仮契約」という言葉が存在するのならば、「本契約」も存在するのかな?」
「ええ」
「後者の「本契約」で」
「畏まりました。ただし、復讐を果たしますとあなたは無条件で僕によって殺めさせていただきますが、それでもよろしいのですか!?」
「はい」
最終的に私と彼は契約を結んだ。
実は私、彼の本当の姿は分からないんだ――――。
2017/03/20 本投稿
※ Next 2017/03/25 0時頃更新予定。




