#2
「今、夕食を作っておりますので、それまではごゆっくりとなさってください」
「……えっ、私も手つ……」
私は執事のような男性に「私も手伝うよ」と言おうとしたらスッパリと、「なりません」と言われてしまった。
「お嬢様はお仕事で疲れていらっしゃるので、まずは心と身体をリラックスさせることが大切です」
彼が私にそのように言われると、なぜか納得がいかない。
しかし、それに対して、納得がいく点がある。
それは私が「仕事で疲れている」という点だけだった。
「……分かった……じゃあ、お言葉に甘えて久しぶりに部屋でまったりしてくる」
「承知いたしました。できましたら、お呼びいたしますから」
「はい。お願いします」
私は彼にこう告げると、いそいそと自室へ向かう。
いつもならば、仕事帰りに重い足取りでスーパーやコンビニとかのお弁当を買って済ませてきてしまうので、少しだけだけど、肉体的には楽なのかもしれない。
まずはせっかく「自分の時間」を作ってくれた彼に感謝しなくちゃね――。
†
「そういえば、この本の最新刊はまだ買ってなかったっけな……」
私は久々に自分の部屋の本棚から1冊の漫画を手に取る。
その漫画は女性向けのもので、今では大人気の作品となっているものを読んでみた。
「面白かった! やっぱり、自分の時間があった方が気が楽になってくるね。ストレス解消にもなるしね」
それは本当のことだ。
漫画やドラマなどを見て思いっきり笑ったり、泣いたりすることによって少し鋭気を養えるというか何とやらだけど……。
気がついたら今持っている分のその漫画はすべて読み終わっている。
続きが気になりながら、他の漫画も手に取り、数ページくらい読んでいた時にふと睡魔に襲われていく――。
例の男性が私の部屋の扉をコンコンと叩いたが、私はそれに気がつかずに眠ってしまった。
2017/03/18 本投稿
※ Next 2017/03/18 6時頃予約更新にて更新予定。




