#14
【作者より】
今回は殺戮シーンが中心です。
苦手な方はご注意くださいませ。
少年は自分のクラスメイトに向かって「僕はみんなが嫌いだ! 大嫌いだ!」と包丁をちらつかせながら言い放った。
「お、おい!?」
「な、なんだよ!?」
「何をしているんだ」
「先生に怒られちゃうよ!」
「止めなよ!」
周りの人間達は少年のその行為を必死になって止めようとする。
普段は彼をいじめたり、無視したりしていた奴らがそこまでするとは実に面白い。
俺はそのような光景を見ていて嘲笑いをした。
「ちょいっと、君達は黙れ」
「「ひぃっ!」」
俺は朝笑いをしながらレイピアを召喚する。
包丁を武器にする少年とレイピアを武器にする俺――。
俺達は互いに顔を見合わせると、少年の「死へのカウントダウン」へ向けて刻を刻み始めようとしているようだった。
†
武器を持った俺達はじりじりと彼らに近づいていく。
人間達はそれに怯えて後退りをし、家庭科室の隅に固まっていった。
「…………おい、包丁から手を離せよ…………」
「刃物は危ないって小学校や幼稚園で言われたよな?」
「あいつ、忘れてるんじゃね?」
「だよな?」
「「あはははは…………」」
彼らは少年のことを馬鹿にするように大爆笑している。
彼は主犯格の男子生徒の胸ぐらをぐっと掴むと、ニヤリと笑った瞬間――。
「…………ぐはっ…………!」
少年は男子生徒の脇腹をめがけて包丁を突きつけ、主犯格の男子生徒は床にしゃがみ込む。
綺麗に掃除された家庭科室の床に血の海が広がっていた。
それを見た女子生徒「キャーッ!」と声をあげる。
「笑うのはみんなじゃなくて僕の方だよ? さて……次は誰がいく?」
闇に溺れた瞳。
自然に上げられた口角。
血に染まり始めたエプロン。
少年はまるで、殺人鬼のような表情をしていた。
俺もだが、そんな少年の表情はおそらく誰も見たことがなかったのだろう。
「もう終わり? 僕はつまらないなー」
「も、もう止めてくれー」
「止めないよ? 僕の気が済まない限りはね?」
少年の威圧感でクラスメイトの表情が凍りついているが、少年の暴走は止まらない。
1人殺めてはまた1人――。
包丁はもちろんのこと、床やエプロンなどを血で染め上げていく――。
家庭科室には「負の感情」でいっぱいになっていた。
俺はそれを体内に吸収しつつ、少年を援護しながら殺めていく――。
†
あれから、時間が経つのは早かったような気がする。
気がついた時には僕達は1人残さずに殺めていた。
その時、僕はふと思った。
僕はどんな表情をしていたんだろうと――。
「少年よ、気が済んだのか?」
なにやら武器を持っている人外の彼が僕に問いかける。
僕はコクリと頷いて「一応ね」と返事をした。
「うむ。あとは少年だけだな」
「うん。今まで……協力してくれて……ありがとう……」
「こちらこそ。まぁ、こうなることは俺も思っていたがな。あの時の少年の顔、面白かったぜ」
「どんな顔をしてたのさー」
「俺から見たら面白かった。君のクラスメイトはかなり怯えていたけどな」
「そうだったんだ……」
「では最後に少年を殺めさせていただこう」
「本当にありがとう……」
彼は僕の身体に向かって武器を突きつけてきたが、その頃からの記憶はない。
僕は後悔せず復讐を果たし、人生に終止符を打てた。
僕と出会ったすべての人達へ伝えたいことがある。
こんな人間と一緒の時間を過ごしてくれてありがとう。
そして、さようなら――――。
今回で第1章にあたる「case1」は完結です。
次回更新分より第2章「case2」に入りますので、お楽しみに!
2017/02/25 本投稿




