表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】俺、勇者じゃないですから。~VR世界の頂点に君臨せし男。転生し、レベル1の無職からリスタートする~  作者: 心音ゆるり
アフターストーリー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

260/269

Aー143 ウキウキ紹介




 イデア様が作った新ダンジョン――そのおそらく中心地に滞在する黒騎士との戦いが始まって、一か月が経過した。


 もちろん一か月ノンストップで戦っていたというわけではなく、数十分から数時間で死んでは反省し、翌日はセラたちとのんびり過ごしたり、パーティハウスのリビングにあるソファで黒騎士との戦闘を思い返したり。


 クレセントと翡翠の二人は、デスペナルティの日は俺たちのパーティハウスで過ごしたりダンジョンに行ったり、レーナス近くにある自宅に戻ったり自由に過ごしている。


 最近俺も彼女たちも自宅を放置気味だったけど、使用人さんたちがしっかりと管理してくれているようだった。ありがたい。


 あの場所は特に目的が無い時に過ごすには静かでのどかでとても良いのだけど、今みたいに特定のダンジョンに通っている時は放置せざるを得ないんだよなぁ。いつか子供ができた時には、あちらでのんびり過ごすことになるのだろうが。


 まぁ自宅のことはいい。今は黒騎士のことだ。


 俺もクレセントたちも一か月の戦闘やお互いの戦闘観察のおかげで、かなり上手く戦えるようになってきている。


 これまでにわかっていることは、様々な部位を攻撃してみたものの、弱点らしい弱点はないということ。鎧の内部は空洞になっていること。それから鎧へ攻撃した際、他の魔物同様に光の粒子が散ることから、おそらく鎧自体が本体であるということ。


 鎧の間接の隙間を狙ったりしたら、逆にダメージが入らないなんてことがあったからな。ダメージの判別は体力ゲージなんて便利なものがないから、粒子の発生の有無での判断になるけども。


 そこそこのダメージは与えられるようになってきたけれど、まだ見ることのできていない攻撃パターンや防御パターンがある。そしてその最適解を模索し続けるというのが、今俺たちのやっていることだ。


 まぁ! 今のところ俺のほうがクレセントたちよりも上手くやれてるけどな!


「なんで急にドヤ顔になってるんだよ……」


 俺の隣にいたシンが訝し気な視線を向けてくる。そして彼の奥にいるライカとスズの二人は呆れたような表情を浮かべていた。


「心の中で負けず嫌いを発揮してた」


「絶対その相手は私たちっス」


「SRさんにはまだ勝ってるとは思いませんから、存分にどうぞ」


 俺の発言を聞いて、すぐにクレセントと翡翠が反応する。よくわかったな。ここ最近一緒に過ごすことが多かったから、ついにノアみたいに読心術ができるようになったのだろうか。


 さて、本日は迅雷の軌跡たちと共に、新SSランクダンジョンへきている。

 そう、とうとう迅雷の軌跡がSランクダンジョンをクリアし、このダンジョンへの入場資格を得たのだ。


 ASRのメンバーも全員来ているし、俺の仲間たちが勢ぞろいって感じ。

 仲間といえば、レグルスさんもベノムの記憶を引きついだ仲間ではあるのだが、彼に関しては戦いが専門じゃなくてギルドマスターだから仕方がない。


「ここはなぁ、何度も説明した通り、死んでも死なないんだ! ダンジョンの外に放り出されて、二十四時間再入場ができなくなるだけの最高のダンジョンなんだよ! しかも経験値はSランクダンジョンと比較しても美味いし、出現する魔物は階層ごとの固定なんてなくて、多種多様――だから要求される戦闘スキルも高いわけだ! でも慣れちゃいけないぜ? 他のダンジョンで油断したらぽっくり死んじゃうからなぁ――あ、あと住宅街があるんだよ! リンデール地区だけで四十九棟な! あそこは魔物が寄ってこないようになってるし、休憩にはもってこいなんだよ。これも話したと思うけど、家を買うためには徘徊するボス級の魔物を倒す必要があって、俺はこの一か月でコインを十七枚ほど――」


「落ち着け」


「落ち着くです」


「落ち着きなさい」


 俺がウキウキで新ダンジョンの解説をしていると、迅雷の軌跡に止められてしまった。まだ黒騎士の詳しい話とか全然できてないし、他の国との位置関係の話もしていないのに……。


 ちょっとはしゃぎすぎた自覚はある。

 なにしろ俺にとっていま楽しい場所である場所を友人に紹介しているのだ。


 相手が男だったら『秘密基地を友達に紹介しているような気分』といえば伝わるだろう。女性相手への例えは浮かばない。


「エスアール。今日は迅雷の軌跡への紹介と、黒騎士相手の進捗を私たちに見せてくれるのだろう?」


「そうそう。迅雷の軌跡たちがせっかく来てくれたし、俺とクレセントたちも黒騎士の次の段階を見ておきたいからな。今日は初めての共同戦線だ」


「頑張るっス! SRさんの動きは昔からだいたいわかってるっスから、協力は難しくないっスね!」


「右に同じ。特にボクはSRさんの戦闘スタイルを目指しているから、ミカよりは詳しい自信あります」


 これでもし第三形態どころか第二形態もなく、あっさり黒騎士を倒せてしまったら興ざめだけど、その可能性は十分にあるんだよなぁ。


 俺がとても高い難易度を期待しちゃってるだけで、現状ベノムを単独で倒した俺も負け続けているのだから、難易度としては十分という見方もできる。


 倒せてしまったら嫌だなぁ。だけど一か月かけてもまだ倒せていないのだから、難易度としては……ゲームバランスとしてはこれぐらいでちょうどいいような気もする。


 でもベノムですら数年かかったことを考えると、もうちょっと難しくてもいいよなぁ。

 俺はまだまだ強くなりたいのだ。壁は高いほど燃える。


「俺、そろそろエスアールを追い越すのは無理な気がしてきたぞ……」


「前までは私も追いつこうとしてたんだけどね……この人、成長することを止めないんだもの。頑張ってるのに、離されているような気さえするわ」


「あそこまでダンジョンに狂う自信は私にはないです」


 迅雷の軌跡が好き勝手言ってくれている。


 俺限定で話しているけれど、クレセントと翡翠の二人も結構なダンジョン狂いだからな? セラたちもどんどんノアのしごきによってレベルアップしてプレイヤーボーナスを獲得しているようだし、強くなっていくことを楽しんでいるようにも見える。俺の希望的観測でなければ――だけど。


 やっぱり一緒にダンジョンで楽しめたほうがいいもんなぁ。

 今回の黒騎士との戦闘を見て、みんなの刺激になってくれたらいいけど。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
絶望という名の刺激を与えそう ていうか、与える
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ