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【コミカライズ】俺、勇者じゃないですから。~VR世界の頂点に君臨せし男。転生し、レベル1の無職からリスタートする~  作者: 心音ゆるり
アフターストーリー

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Aー142 黒騎士とこれから





「おそらく剣の長さは一・五倍から一・六倍ぐらいの変化だったと思うぞ。一・七倍はない」


「そんな細かい数値言われてもわかんないっスよ~! やっぱり自分で見て感覚を掴んだほうが良いっスよね……まぁ剣が伸びるってわかっただけでも、対処の仕様はあるっス」


「そうだねぇ。とはいえ、SRさんでも勝てなかったどころか、大したダメージも与えられなかったんですよね? なかなか厳しい戦いになりそうです」


「さすがにソロじゃ負ける気はないけど、翡翠たち二人なら俺と大差ないだろ」


「いやぁ、覇王のスキル連打されることを考えると。というか前にダンジョンの死亡確認のときにボコボコにしたじゃないっスか」


「まぁそうか」


 ――と、つい二時間ほど前に行われた黒騎士との戦いの感想を、クレセントおよび翡翠と王都のパーティハウスのリビングで行っているところだ。


 なぜこの話し合いに至るまでに二時間もかかってしまったのかというと、本来の目的である転移の魔法陣が各国に繋がっていることに関しての報告(結局、レグルスさんには俺が前日に発見したことはバレなかったし、暴走して黒騎士戦を行ったことにもお咎めはなかった)と、ダンジョン内で死亡したことに関して、パーティハウスで暮らしている両親に『そんな危ないことしないの』と今更なことを言われた。


 ちなみに両親は未だ無職だが、使用人たちと一緒に家や庭の手入れなどをしてくれているので、専業主婦と専業主夫って感じだ。大丈夫、金なら腐るほどあるから『ダンジョンに行きたい』とか言い出さないだけマシである。


 せっかく生き返っているのにダンジョンで死ぬとか笑えない。


「――ふふ、エスアールが活き活きしているとなんだか嬉しいな」


「そうですね。それに今回は死ぬ危険のないダンジョンですし、不安なく笑顔で送り出せます」


「でも死なないとはいえ、痛みはかなりのものよ……? 少しは緩和されているけど、私も魔物に腕をもぎ取られたときは泣きそうになっていたもの。あの三人は死んでいるのだから、かなりの痛かったと思うわ」


「ノアは激しい打ち身程度と言っていたらしいが……」


「それが痛みの限界値なのかもしれないわね」


 セラ、フェノン、シリーの三人は、俺たちの会話を耳に入れながらそんな話をしている。

 まぁ俺も胸を貫かれてしまったが、たしかに限界値が決まっていそうな感じだな。あれぐらいなら五分もすれば痛みの残滓も消える。アドレナリンドバドバ状態なら無視することもできなくもないはず。


 三人もいずれノアのしごきの途中で死ぬことになるだろうけど、これに慣れないようにしてもらいたい。他のSランクダンジョンとかで同じように死んでしまったら、生き返ることはないのだから。


 いやぁしかし、久しぶりの難敵で心が躍るというものだ。


 テンペストでベノムをソロ討伐してしまった時はかなりの喪失感を抱いてしまったけれど、完全にあのゲームでやることが無くなったかと言われたらそうでもなかったんだよな。


 なにせ俺は、個人のランキング戦でこそ頂点に立っていたものの、パーティ戦では勝てなかったわけだし。五対一の戦いで勝とうとするのがおこがましいと言われたらそれまでなのだけど、今回は一対一である。


 黒騎士の魔物。


 蛇腹の剣と盾を使った、魔物らしくない相手だ。そんな人間味を帯びた敵に、一対一で負けるのは気に食わない――というか、絶対勝たないと気が済まない。


 イデア様も素晴らしい物を作ってくれたもんだ。

 以前闘技場で真っ黒な人形のようになった『月』のメンバーと戦ったこともあったし、あれはあれで楽しかったけれど、心のどこかで『自分が不利な条件である』って思っちゃってたもんな。覇王の職業があるとはいえ。


「しばらくは新ダンジョンに通い詰めだなぁ。絶対第二形態とかあるだろ」


「その剣の形態が変わるのは違うんですかね?」


「あれじゃ形態変化にしては弱すぎるよ。スキルの一つみたいな感じだろ。イデア様が俺たちを楽しませるために作ったっていうなら、第二、第三形態とか期待しちゃってもいいんだろうか」


「そこを期待って言っちゃうところがSRさんらしいっスよね~。私はドロップ品とか気になるっス」


「それもあるなぁ。倒せるようになったら周回して集めまくるか」


「黒騎士さん――ボクらに目を付けられたの、ちょっと不憫かもしれないね」


「まぁそれなりに殺されることになるっスけどね~。やりがいのある敵を用意してくれたイデア様には感謝っスよ! さすが地球神!」


 クレセントが地球の創造神様をヨイショしている。元創造神であるノアがちょっと不憫に思えたが、あいつはそういうキャラでもないな……。フレンドリーに接してやるほうが喜びそうな気がするし。


「私たちはSRさんとは違うんで、二体一――場合によっては他にもメンバーを加えて戦うことにするっスよ。それこそ、ノアさんを省いたセラさん、フェノンさん、シリーさんを加えてもいいかもしれないっスね」


「んー……セラたちには荷が重くないか?」


「レベル上げと並行して進めればいいと思うっスよ。セラさんは特に戦闘のセンスが良さそうですし、たぶん長丁場になりそうっスから」


「一日置きにしか戦えないし、戦闘の観戦も交互にしかできないもんね。SRさんの戦いを見るの楽しみだなぁ」


「見て満足できるような戦いにできるように頑張るよ」


 数か月単位の攻略になるだろうなぁ。デスペナルティ中の一日は、レグルスさんのお願いを聞いてダンジョンの情報を報告したり、両親や仲間、パートナーたちと関係を深める時間に使ってもいい。


「プレイヤーボーナスのことはもう知られているんだし、新ダンジョンに人が増えるのも時間の問題だろうからな……人が増える前には攻略したいもんだ」


 そしてドヤりたい。もうどうせ目立ちきってしまっているんだから、やるならとことんだろう。






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