表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
同じ 鍵を 持っている  作者: 藤宮彩貴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/42

7 いま、ここに宣言します!④

 さくらは墓前に出た。


「玲くんのお父さま、初めまして。さくらと申します。親の再婚で、玲くん類くんときょうだいになってしまいましたが、私は玲くんのことを……玲が大好きです」


 墓の前で告白し合う高校生なんて、そうそういないだろう。


「決めた。玲も聞いて」


 さくらは宣言した。


「私、京都の大学へ行く」


 問題発言だった。

 玲は目を瞠った。


「おいおい。もう、十一月下旬だぞ。志望校を今から変更するなんて、無謀だろうが」


「試験は、年明け。これから、うんとがんばる。死にものぐるいで」


「でもな」


「建築学科があれば、この際どこでもいい。合格さえすれば、あとはなんとかなる。京都に詳しい玲もいるし」


「軽い女だな。どこでもいいわけないだろ。学費を払うのは親なんだ」


「両親が新婚旅行から帰ったら、さっそく相談する」


「反対すると思うよ。理由が、理由だし」


「でも、諦めきれない。反対されたら、自分で学費を払うよ。今日、あとはどこに案内してくれる? 本屋さんに寄って、京都の大学案内を手に入れたい」


「昼めし、食って帰るつもりだ。もう、一時だし」


「よし、じゃあ行こう。私、昨日からパンとかコーヒーばっかりだったから、ボリュームのあるものを食べさせて」


「金持ちの類に、うまいものを食わせてもらっていないのか。てっきり、食って酔わされて、餌付けでもされたのかと」


「誰かさんのせいで、食事どころじゃなかった」


「はいはい。じゃ。こっちだ」


 ふたりはJRの駅に向かうことになった。


「行きと違うんだね」


「嵐電のメイン路線は、四条大宮行きだから。京都駅ならJR。バスもあるけど、時間がかかる。三十分以上。渋滞していたら、もっとかな。嵐山は、電車利用が賢い」


「すべてお任せします、玲さま」


 詳し過ぎて、すでにさくらには理解できない。


「肉でも食うか。おじさんにお昼代、もらったんだ。いかにも京都っぽい湯豆腐とかじゃ、あんまり食べた気しないだろ」


「うんうん。とんかつがいいな。おなかいっぱい、がっつりとんかつ」


「了解」



 食事を終えたふたりは、嵯峨嵐山駅から嵯峨野線で京都駅へと戻った。

 観光旅行ではないので、おみやげを買うかどうか迷ったが、新幹線の待ち時間に構内のおみやげ屋さんをふらついていたら、誘惑に負けてついついお菓子を買ってしまった。純花のぶんも。


 帰りの新幹線の中では、お互いに寄りかかりながらぐうぐうと熟睡。

 帰宅できたのは、午後六時だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ