97 ベーコンにチーズは最強でしょう?
皆が、思い思いに投票していくなか、莉奈は "最強" パンを作る事にした。
まぁ、すごく美味しいから最強なだけで、特別な事はしない。さっき、冷蔵庫を覗いた時に珍しい物を見つけたから、それを使うだけ。この国には、珍しいであろう"ベーコン"だった。
まずは、さっき焼いたパンを取り出し、斜めに5等分にする。冷蔵庫にある、ベーコンをスライスしてから、さらに一口サイズに切る。じゃないと、噛みきれなかったらビロ~ンとして、食べにくいし。切ったパンにチーズをたっぷりと乗せ、その上にベーコンを。
で、オーブンで軽く焼けば、出来上がりだ。簡単だが美味しい。フェリクス王に出すなら、最後に黒こしょうを振ればピリッとしていいだろう。
「……エド~~、出来たよ」
焼いたチーズパンを、お皿に乗せ莉奈は、エギエディルス皇子の前にカタンと置けば、皆がさらに集まった。コレが貰えると……。
「みんなは放っといて、先に食べよっか?」
生唾ゴックンと、聞こえる中、非常にマイペースな莉奈は、自分の分を食べ始めた。
「アッツ。はふっ……うっまっ」
お構いなしに食べる莉奈に視線が集まり、皆がさらに喉を鳴らす。チーズがトロトロと伸び、ベーコンはカリカリとしていて、濃厚な味だ。久々のベーコンは最高だった。
「……このベーコンどしたの? ブタいたの?」
聞く前に使うなよって話だが、許可は下りてるしいいでしょ?
肉と云えば "鶏肉" メインだったし、エギエディルス皇子の話だと、いない様な感じだったので、てっきり無いものだとあきらめていたのだ。だから、余計に美味しい。
「少し……な。まぁ、輸入したりもしてるし……って、お前のメンタル、マジで強靭過ぎるんだけど……」
なんで、こんなに近くで見られているのに、気にもせずに食べられるのやら。
「だってエド、アツい内に食べないと、チーズが固まって美味しくないよ?」
「……だなっ!」
エギエディルス皇子も、美味しい物の前に視線なんか無視し、食べ始めた。
「ん~~チーズが……のびる~」
たっぷり乗せたチーズが、口からパンまで橋の様に伸びていた。だが、それすらも楽しんでいるみたいだ。
「リナ~~。投票終わったよ」
誰ともなく、声が聞こえた。
莉奈達がチーズパンを頬張る中、"食べさせたい人" 投票は終ったらしい。誰が食べられるのやら。
「食べ終わるまで、ちょっと待ってよ」
どうして、ゆっくりパンを食べさせてくれないのかな?
「早く、早く~~!!」
アンナは、莉奈を急かす。たぶんだけど、休憩の時間が終わってしまうから、急かすのかもしれない。
……が、莉奈には関係がないので、もしゃもしゃとマイペースに食べるのであった。




