93 なめらかクリーミー じゃがいものポタージュスープ
「じゃがいものポタージュスープ、完成で~~す」
最後は、塩で味を調え完成した。
「「「いえ~~~い!!」」」
出来ればいつも通りの歓声が起きた。喜びは何度でもいいよね。
しかし、毎回思うけど、本当にスゴい量だ。何百人分なのか。これでも以前よりは、人が少なくなったらしい。
フェリクス王達が、前王の寄生虫の様な取り巻き連中や、事業仕分けをしたからだそうだ。
無駄をなくしたって事かな? 口で言うと簡単だが、ものスゴく大変だったに違いない。
「ちなみに、じゃがいもを他の野菜に変えて、アレンジすれば、また違うポタージュスープになるよ?」
個人的なおすすめは、カボチャだ。
だけど、甘い物が苦手なフェリクス王はダメかもしれない。甘みが強くでるからね。
「リナは、本当にスゴいな」
リックが感心した様に、呟いた。次々と新しい料理を簡単に作る莉奈に、ますます感服した様だ。
「スゴいなって、リックさん達の方がスゴいと思うよ? 自分達の仕事もこなしつつ、こうやって新しい料理も覚えていくんだから」
仕事とはいえ、こんな量を作るのもスゴいと思う。自分はただ本やTVを見て覚えただけだ。しかも、好き勝手に作るだけ、仕事として成立させているリック達を、純粋にスゴいと思うし尊敬する。
「そうかな……ありがとう」
照れ隠しに、頭をポリポリと掻くリック。父くらいの歳なのに、なんだか可愛いらしい。
「さて、と。んじゃ、私はパン作りに戻るかな」
莉奈は、発酵が終ったであろう、オーブンの前に。
オーブンを開け、ボールに入ったパン生地のフキンをとった。
「なんだか、スゴい、ふかふかだね」
リックが上から、興味深そうに覗いてきた。
「発酵したからね。じゃあこれの空気を抜いて……」
粉をふった台の上で、パン生地を軽く捏ね、空気を軽く抜く。そして、生地を6等分に切る。
「エド、手を洗って来なよ。自分のパン捏ねさせてあげる」
当然、皇子であるエギエディルスにも、焼きたてはあげるので、自分のは作らせてあげようと思ったのだ。
「えっ? いいのか?」
と言いつつ、瞳はランランしていてやりたそうだ。
「だって、面白いよ?」
子供はこういうのは絶対に好きだ。弟も勿論好きだったし、身分は関係ないだろう。
「なら、やる!!」
エギエディルス皇子は、嬉しそうに流し台に向かった。
「リックさんも、やってみる?」
そのうち、リック達が作るハメになるだろう。なので、どんな物か料理長として触れておくのもいいだろう。
「……やってみ……る」
なんだか、妙に気合いがみえる。真面目過ぎるな、と莉奈は笑う。
「洗って来たし、一応浄化もかけといた」
念入りに魔法までかけたらしい。
「じゃあ、私がやるみたいに、こうやって捏ねて……そうそう上手いよエド」
莉奈が、説明しながら言えば、リックもエギエディルス皇子も真剣にパンを捏ねる。なかなかエギエディルス皇子も上手い。
「……ふわふわだな、これ」
ふわふわのパン生地に、驚きながらもエギエディルス皇子は手をしっかり動かす。
「生地からして、全然違うんだな」
リックも、パン生地を捏ねながら、その柔らかさに驚いていた。
「で、最後はこうやって丸めて、鉄板にのせま~す」
要はソフトなバゲット風パンになるのだ。莉奈は、両手を使って2個作り鉄板にのせる。最後の2つはリックにやらせた。経験は積んだ方がいい。
「焼くんだな?」
エギエディルス皇子は、ワクワクした様に言う。
「ざんね~ん。2次発酵させま~す」
そう、まだ焼かない。2次発酵させ更に、ふかふかにするのだ。
「まだ、発酵させるのか!」
リックが驚愕していた。あまりの手間に驚いていたのだ。
そう、だからやりたくない。
パンはたまに作るから楽しい。毎日はゴメンである。
「20分くらい、発酵させたら今度は焼くよ」
見ていた皆も、まだなのかと、残念やら驚きやらである。
作る様になったら、みんな大変だね~~。
莉奈は、おそらく作る様になるだろう、このパン作りには、関わりたくはないなと笑っていた。
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