表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/669

85 もう忘れるとこだったよ



「さぁ、みんな~~。じゃがいもの皮を剥いて下さい」

 莉奈は、一旦の休憩で弛んだ気を入れ直す様に、声を上げる。

 昼食も終わり、夕食の作業も兼ねて準備をする時間だ。敗けたチームも、若干2名程、クレープを食べれたので、ご満悦だった。

「何個剥くの~~?」

 後ろの方から声が上がった。

「ん~~? とりあえず、300いってみよう!!」

 足りなければ後から足せるし、こんな量を作った事がないので、想像もつかない。

「「は~~~い」」

 美味しい物が出来て、それを1番に食べられる特権があると思えば、まったく苦ではない様だ。



「……リナは……何をしてるの?」

 皆が一斉に、じゃがいもを剥くなか、リナは1人で何か違う事をし始めたからだ。

「そういうモニカは、サボり?」

 莉奈付きの侍女とはいえ、莉奈がここで作業をしている以上、やる事は……いや、やれる事がない。他の侍女達は、クレープを食べると満足し、ホクホクとして自室に戻って行った。

 モニカは戻らず、見ているだけ。サボりだろう。

「サ、サボりじゃないわよ……」

 尻窄みになりつつ、モジモジ言った。

 莉奈の部屋は、掃除し終わっている。だが、ここは王宮だ、探せばまだまだ、他にもやる事が沢山あるのだろう。

 だが、莉奈が何をやるのか、気になって仕方がないのか、ラナ女官長と一緒に残っている。

「ラナもサボり?」

 ラナもやる事はないのは同じだ。

「サボり……じゃないわよ?」

 と、同じくモジモジしている。



 うん、サボりだ。

 どう考えてもサボりだ。



「…………」

 だから、白い目で見てあげた。

 皆がバタバタと夕食の準備に追われている中、二人は莉奈のする事だけを興味深そうに見ているだけなのだ。

「「……だ……」」

「……だ?」

「「だって~~気になるんだもの~~。」」

 莉奈の白い目に堪えられなかったのか、可愛らしく、バカ正直に二人は言った。それには、作業をしていた皆も苦笑いしていた。気持ちがわかるからだ。

「…………はぁ」

 莉奈は呆れてため息をついた。なんだ、その理由。


「まぁ、別にいてもいいけど……」

「……けど?」

「誰か、ご飯を食べに来たら、給仕係してよね?」

 時間差で警備、警護兵は来るのだから、せめてそのくらいは料理人の代わりにやって貰いたい。

「「は~~~い!」」

 実にいい返事である。



「で? 何を作るの?」

 モニカが改めて訊いてきた。

「とりあえず、ククベリーを少しジャムにするのと……」

「するのと……?」

「パンを作ります」

 と、莉奈は言った。そう、やっとだ。やっと柔らかいパンが作れる。なんだかんだと作る暇がなかった。

 いや、普通は仕事がない莉奈に、暇がないのはおかしいのだが、なんか料理を教える事になったし、そんな事に時間を費やしている暇がなかったのだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ