75 モニカが怖い
「……まぁ、みんなも作るの面倒……大変だろうし……なんかご褒美でも作ろうか?」
自分は参加しない代わり……といったらなんだが、何か皆が楽しめる方法を提案する。やる気も出るだろうしね。
「何!? ご褒美って!!」
真っ先に食いついたのは、案の定と云うか、安定のモニカだ。
「言っといてなんだけど、モニカって包丁使えるの?」
頭数に入れたはいいが、根本的な事を確認して置くのを忘れていた。使える気がしないのだが、大丈夫なのだろうか?
「人に向けた事はないわよ?」
「「「………………」」」
それには、莉奈だけではなく全員絶句した。
んな事は、当たり前だ!!
…………ダメだコイツ。
そんな返答するヤツはあかんヤツだけだ。
「リナ……コイツに訊いた時点でダメだわ」
エギエディルス皇子が、渋い顔をして言った。彼もまた、モニカが包丁を使えるとは思っていなかったらしい。
「……はぁ……ラナは、使えるよね?」
一応……一応だが訊いておく。結婚しているからといって、包丁を使えるかは家庭それぞれだ。
「……ひ……」
「……ひ?」
「人に向けた事はないわよ?」
「…………」
お前もか……!!
「私が使えるから……ね?」
旦那のリック料理長が、頑張ってフォローしていた。
「あ~じゃあ、論外二人はどうしようかね~?」
6組に分かれて競わせようとしたのに、出鼻を挫かれるとはこの事である。まさか、ラナまで使えないとは……想定外だった。
「……潰すのは?」
と、拳を小さく掲げる。
「……えっ? 何を?」
「たまねぎを……」
……え? なんで? 怖いんだけど……。
モニカが、ご褒美欲しさに変な事を言い始めた。スライスしてほしいのに潰すという発想が怖い。なんでせめて、ぶつ切りとか頑張ってやるから……って話にならないのかな? 力業にも程がある。
……ってか、たまねぎ潰せるの!?




