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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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661 ある意味、言葉の暴力



「しかし、可笑しな所にいますね」

 そんな話はともかくとして、町の中で待っていないフェリクス王達に、シュゼル皇子は笑う。

 おかげで探さずに済んだが、それを見越したにしても、中々選ばない場所である。



「コイツもいるしな」

「あぁ」

 実際には、小竜は後から来たのだが、他の竜が来ないとは限らない。

 何も考えていなさそうな小竜を、フェリクス王が指差せば、シュゼル皇子が苦笑いしていた。

 竜は基本的にマイペースで、自由だ。

 だが、それに輪をかけて自由なのが子供の竜である。人の事どころか、仲間の事ですら考えずに、楽しい事重視で過ごしているから厄介な存在だ。

 しかし、竜好きにはそれすら可愛いらしい。



「ところで、"アレ"は?」

 シュゼル皇子の視線の先、数メートル離れた場所に、小竜が捕まえて来た例の生き物がコロンと転がっている。

 真珠姫は、また変な物をと微妙な表情をしていた。

「お姉ちゃんのゴハン!」

「違う!!」

 さも当然の様に言う小竜に、莉奈はすぐさま否定する。

 魔物を食べないとは言わないが、莉奈は一応、選んで食べているつもりだ。だが、小竜の中では"魔物=莉奈の食事"という方程式が、出来上がっている様だった。



「シュゼ兄、それ何だか知ってるか?」

 莉奈がそれを【鑑定】して視たものの、チュロチュロと倒れたのだ。

 次兄なら、知っているかなと、エギエディルス皇子は考えた。

「ギリッシュピル・バグに似ていますが……」

 シュゼル皇子にも分からないのか、側に寄り【鑑定】を掛けていた。

「……っ!」

 そのダンゴムシらしき物を視た瞬間、シュゼル皇子は顔を一瞬顰めた。



「お前ですらそんな顔をするんじゃ、リナが倒れる訳だ」

 フェリクス王が面白そうに、口端を上げていた。

 どうやら、その生き物は普通ではないらしい。疲労で目眩がしたのかと思っていたが、それだけのせいではなかった様だ。



「で? 何なんだそれ」

 莉奈が倒れた原因の一端に、その生き物が関わっているのは分かったが、それが何なのかエギエディルス皇子は知りたかった。

 そんなエギエディルス皇子に、シュゼル皇子はニコリと微笑んだ。

「チュネチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールですね」

「「「は?」」」

「チュネチュネチロックコシピロ・ローリ・ロール。私も噂には訊いた事があったんですよ。このチュネチュネチロックコシピロ・ローリ・ロール。兄上が言った様に、ギリッシュピル・バグに少し似ていますが、どちらかというとブラチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールに酷似しているかと。ですが、ブラチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールとは違い、昼夜活動している分、こちらの方が厄介ですかね。しかも、ブラチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールに比べ、チュネチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールの生息域はかなり広いらしいですし、サバサバサチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールより巨大化する事が多いって表記されていますので、やはりチュネチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールの方が厄介でしょう」

「「「……は??」」」



 皆の心を代弁するならば、お前は何を言っている……である。

 もはや、全員の頭上にはクエスチョンマークが浮かんでいた。

 決して皆、頭が悪い訳じゃない。だが、早口言葉みたいな説明に、理解が出来なかった。

 シュゼル皇子が、何を言っているのかまったく分からず、途中から皆は考えるのを放棄したほどだ。耳から入る情報がややこしくて、何も頭に入ってこない。

 皆の頭の中には、チュネチャロチュネチャロとグルグル回っていた。

 むしろ、シュゼル皇子はよく噛まずに説明出来るなと、感心する。莉奈が感心していれば、シュゼル皇子は小竜を見て訊ねた。



「ところで、コレをどこで?」

「あっち!」

 そう言って小竜が視線を向けたが、莉奈達が来た方向としか分からない。

 もっと具体的なヒントはないのだろうか?

 だが、シュゼル皇子はそんな誤差はどうでもイイのか、話を続けた。

「そこに、ギリッシュチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールとマビスラブラチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールはいましたか?」

「……え??」 

「ギリッシュチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールとマビスラブラチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールですよ」

「……チロ……チュネ……?」

「チュネチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールの近くには大体、ギリッシュチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールとマビスラブラチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールのどちらかが、いるらしいんですよね。ですから、ギリッシュチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールかマビスラブラチュネチロックコシピロ・ローリ・ロールは近くにいましたか?」

「……ピロピロピ〜ッ」

 シュゼル皇子の問いに、エギエディルス皇子の小竜が変な声を上げてパタリと倒れた。

 どうやら、シュゼル皇子の言葉が、まるで呪文みたいに聞こえ、頭がショートした様である。



「シュゼ兄、言葉でチビを倒すのヤメろよ」

 倒れた小竜に、エギエディルス皇子が歩み寄る。

 小竜が倒れたのは心配だが、おそらく知恵熱的なモノだろう。これもある意味では、言葉の暴力なのかもしれない。

「可哀想に」

 アーシェスが倒れた小竜に同情していたが、シュゼル皇子的には、訊いただけなのにと不本意そうだった。





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