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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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645 アーシェスとアーリャ



「え? お前、知らなかったのかよ?」

「知らないよ!!」

 莉奈のその声に、エギエディルス皇子が目を丸くさせていた。

 アーシェスの話をする機会もあったので、エギエディルス皇子はとっくに、誰かしらから聞いていると思っていたらしい。



「アーシェスが兄、アーリャが妹の双子」

「"双子ぉ"ーーっ!?」

 しかも"双子"だと言うから、莉奈はさらに驚愕する。

 確かに、近衛兵のジンとレイがアーシェスを見た時、誰かに似ていると口にしていた。莉奈も先程、初めてアーリャを見た時に、何だかアーシェスと似ているなとは思っていた……が、まさか兄妹だとは思わなかった。しかも双子。



 エギエディルス皇子に言われて、さらに見比べて見れば、目元なんてそっくりだ。

 ちょっと背の高いお姉様なアーシェスと、男装の麗人なアーリャ。

 ややこしいが、そのややこしさすら似ている気がする。



「双子、兄妹」

 莉奈の呟きは止まらない。

 アーシェスがフェリクス王を、フェリクスと呼び捨てなのも納得だ。

 ただ、煩わしいからとか仲が良いからとか、そんな理由でフェリクス王は呼び捨てにさせているのかと思っていたが……まさかの王族同士。

 おそらく、呼び捨てにさせるくらいの付き合いなのだろう。



「そんなに驚く事か?」

 衝撃の事実に固まる莉奈に、エギエディルス皇子が呆れていた。

 アーシェスが双子だと知った莉奈が、そんなに驚くとは思わなかったらしい。

「だって、アーシェスさんが"王子様"だったなんて」

 アーリャ公女と双子なのだから、アーシェスは公子。

 だが、このウクスナ公国は、グルテニア王国から出た王族が興した国。だから、アーリャは王女で、その兄であるアーシェスは王子だ。

 莉奈は、いっぺんに入って来た情報に、頭の中が大忙しである。



「王子様とか言うのヤメて……王籍から離脱してるから、もうただの人よ」

 何だか恥ずかしいわと、アーシェスは苦笑する。

 血の話をするならば、王族なのだから王子で間違いないが、国を出る時に"王籍"を抜いたので"元"だそうだ。

 なのに、今さら"王子様"とか言われても、何だかこそばゆいだけだと、さらに苦笑いしていた。

「王子とか笑える」

「あなただって、元皇子でしょう!?」

 フェリクス王がボソリと呟けば、アーシェスが即時に抗議していた。

 確かに、王座は急に降って湧いて来ないのだから、フェリクス王も元皇子で間違いない。



「ローレンさんは……」

「私は極々普通の一般人ですよ」

 ここまで来ると、ローレン補佐官も王族だったりして? と思ったが、どうやら違うらしい。ホッとした様な顔の莉奈を見て、ローレン補佐官が笑っていた。



 一方アーリャは、そんな莉奈達のやり取りに、徐々に気分が和らいでいく。

 いつもは、グルテニア王国や魔物に警戒ばかりしていて、神経が疲弊している。しかし、今ここには緊張感などなく、温かい空気が流れている。

 こんなにも、心がホッとするのは久々で、アーリャは自然と笑みが溢れていた。

 


「ん、美味しい」

 アーシェスが淹れてくれた桃の紅茶に、アーリャの心はさらに癒されていく。

 冷たい紅茶に、優しい甘さのハチミツ。そこに、仄かな桃の香りがふわりと鼻を擽ぐれば、何だか懐かしさを感じるから不思議だ。

 アーシェスの淹れてくれた紅茶は、アーリャの乾いた喉と疲れた心に、ゆっくりと沁み渡っていくのであった。




 ◇◇◇




「で、何があったの?」

 アーリャも含め、皆が一息吐いた時、アーシェスが口を開いた。

 何とはもちろん、この国の事を訊いているのだろう。

 アーリャはほぅと、長い息を一つ吐くと、ゆっくりと話し始めたのである。






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