609 幼馴染ズ、黒いの、人の王、コックローチ
言葉なんて溢れているのだから、探せばカッコイイ言葉はいっぱいある。
なのに、何故それをパーティ名にチョイスした。
それでは、竜に"からあげ"と命名しようとした、どこかの師団長とイイ勝負ではないか。
「もう少し捻るとか……」
莉奈との会話を聞いていたアーシェスが、頭を押さえていた。
依頼する方も"幼馴染ズ"で、なんてちょっと苦笑してしまう。
「捻るってなんだよ?」
「え? 分かりやすいよね?」
「ほらぁ、やっぱ、頭に村名付けるべきだったんだよ!」
「「そうか!」」
とザワつくランデル達に、莉奈は思わず「いや、そこじゃないから」とツッコんでしまった。
だって、頭に村の名前付けたところで"〜村の幼馴染ズ"である。
文字数が増えただけで、何も変わっていない。
「だせぇ」
呆れたエギエディルス皇子が、ポソリと小さな声を漏らしていた。
ここに昨日会ったチャーリーがいたら、「お兄ちゃん達本気?」と目を丸くさせている事だろう。
莉奈もナイなと思う。
「ちなみにリナだったら、私達のパーティを何と付けますか?」
ランデル達の話はさておき、ローレン補佐官が訊いてきた。
フェリクス王率いる自分達も、一応パーティとなる。現状、一時的なパーティのため登録していないが、莉奈だったらどう命名するかなと気になったらしい。
「う〜ん?」
何がカッコイイだろうか?
攻撃力を強調させたいなら"剣"を付けたり、防御力を強調させるなら"盾"とか"鎧"だろう。
そこに色をプラスさせれば、それなりにカッコ良く感じる。
だが、莉奈のいるパーティには"世界最強の彼"がいるのだから、中途半端なモノでは名前なんて色褪せてしまう。
何かイイ案はないかな? とチラッとフェリクス王を見れば、莉奈の頭にはコレしか思い浮かばなかった。
「"魔王と愉快な仲間達"」
ーードス。
莉奈の頭に、フェリクス王の鋭い手刀が落ちて来たのは、言うまでもなかった。
◇◇◇
「村の名前だよ」
「いや、強い魔物の名前とかは?」
「可愛い名前がイイよ!」
ランデル達はまだ、自分達のパーティ名を思案している。
どうやら、一度付けたパーティを改名していいらしい。
莉奈に言わせれば、村の名前にしろ強い魔物にしろ、さらには可愛い名前にしろ、付け方次第ではイタイし恥ずかしいと思う。
そんな事を考えつつ、莉奈ははたと思い出した。
「そういえば、エド。竜に呼び名付けてあげたの?」
ランデル達には聞こえない様に、コッソリと訊いた。
番の竜に何かカッコイイ名前を付けたいと、エギエディルス皇子は色々と悩んでいたハズ。そろそろ付けてあげたのかなと思ったのだ。
「……付けてない」
莉奈が訊いたら、はぁと深いため息を吐いていた。
考え過ぎて、訳が分からなくなっているみたいだ。
「早く付けてあげた方がイイよ?」
「え、なんで?」
「ゲオルグさんの番なんて、ちゃんと呼び名があるのに、裏では"からあげ"とか呼ばれてるし……」
「あぁ、お前は"竜喰らい"だもんな」
そう、もはや悪口である。
ど突いたところで竜には効く訳もなく、言われたい放題だった。
「そもそも、ゴキブリ遊びをやめさせないと、その内"コックローチ"って呼ばれるんじゃねぇか?」
「げっ、マジかよ!?」
フェリクス王が揶揄う様に言えば、エギエディルス皇子が身震いした後、青ざめていた。
エギエディルス皇子の小竜は、何が楽しいのか、森のゴキブリこと"フロストローチ"で遊ぶのがマイブームだ。
それはもはや周知の事実で、ゲオルグ師団長の竜をからあげなんて揶揄する竜達が、小竜をそう呼ぶのも時間の問題な気がする。
「ゴキブリだけは、マジで勘弁して欲しい」
エギエディルス皇子が頭を抱えていた。
"黒いの"とか"人の王"とかで呼び合うフェリクス王達もどうかと思うけど、ゴキブリより遥かにマシだ。
エギエディルス皇子は時々唸りながら、ブツブツと口にして歩いていた。どうやら、小竜の呼び名を考えているみたいだ。
フェリクス王に言われ、焦っているのかもしれない。
そんなエギエディルス皇子も、なんだか可愛いなと莉奈は1人ホッコリするのであった。
今年も1年、ありがとうございました。
皆様の応援のおかげで、神山は神山として活躍が出来ました。
改めて感謝しております。╰(*´︶`*)╯♡
そして……明日から毎年恒例の冬休みに入りたいと思います。
元旦から活動出来たらなと、予定を立てております。
すっご〜い早いですが、皆さま良いお年を!!
( ´ ▽ ` )シ
来年もよろしくお願いします。




