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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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592 暇潰しは食べるに限る?



 ーーガサガサ。




 そんな失礼なエギエディルス皇子はさておき、莉奈は魔法鞄をガサゴソとあさる。

 何もする事がないと、つい食べ物に手が伸びてしまうから不思議だ。

 この世界に来る前は、ただただ寂しさを紛らすためだけに食べていた。腹が満たされると、何故か心も満たされた様な……そんな感覚になっていたからだ。

 まぁ、今は、ただの手持ち無沙汰なだけだけど。



「ヘビ食うのか?」

「食べないよ!」

 食べるとしても、絶対調理する。何故、生のままワイルドに、丸かじりしなければならないのだ。

 冗談とは言え、そんな失礼な事を言うエギエディルス皇子に、一応ツッコミを入れておく。

「何だそれ!!」

 もちろん莉奈が魔法鞄から取り出したモノは、ゴールデンコブラではない。

 しかし、莉奈が魔法鞄から取り出すモノ=食べ物である。

 ヘビじゃないと分かったエギエディルス皇子が、瞳をキラッキラさせていた。

 莉奈の魔法鞄は、皆を魅了するモノがたくさん入っているのだから、まさに魔法の鞄である。



「アイスキャンディーだよ」

 皆が注目する中、莉奈が手にしていたのは、スライスした苺が表面に見えるミルクアイス。

 棒付きだから、"アイスキャンディー"で正解だろう。

 徒歩がメインだと訊いたので、食べ歩き出来る物かつ水分補給の一つとしてたくさん作って来た。

「アイスキャンディーって何だ?」

「氷菓子?」

 と答えたものの、莉奈もあまり自信がない。

 氷菓子とは、凍らせた菓子全般を指す事が多いから、たぶん正解なハズ。



「アイスクリームか?」

「アイスクリームとはちょっと違うかな。味はミルクの他に、オレンジやぶどう、マンゴーとか色々あるよ?」

 シュゼル殿下に貰った冷凍庫を、フル活用して作ったアイスキャンディーだ。

 コクのあるミルクに、甘酸っぱい苺をトッピングしたミルクアイス。

 氷のガリガリした食感と、新鮮な果物のフルーティさが堪らないフルーツキャンディー。

 たっぷりの牛乳で煮出した紅茶味。

 フェリクス王には、何も入れていない無糖の紅茶もあるし、甘くないレモンやライムで作ったシャリシャリのアイスキャンディーもある。

 自分のミルクアイスを一旦しまい、その代わりにキンキンに冷えたアイスキャンディーが入ったとうの籠を、皆の前に取り出した。



「へ……フェリクスさんは、レモンとかライム系の甘くないのはいかがですか?」

 気を抜くと癖でつい"陛下"と言ってしまいそうだ。

 この人が、実はヴァルタール皇国の国王様だと、ランデル達が知ったら卒倒するだろうなと莉奈は思う。

「甘くない紅茶もありますよ?」

「貰おう」

 ストレートの紅茶味を出せば、フェリクス王はそれを手に取った。

 それを皮切りにして、皆の手もアイスキャンディーに伸びる。



「俺はこの苺の付いたヤツ!」

 そう言って2番目に取ったのは、エギエディルス皇子だ。

 選んだのは、スライスした苺が表面に見えるミルクアイスキャンディー。

「オレンジにしようかしら?」

「私はレモンかな」

 続いてアーシェスがオレンジ味を取り、ローレン補佐官はさっぱりレモン味を。

 ランデル達も各々食べたい味を取り、一瞬噛むか舐めるか悩みつつ口にしていた。



 自分とエギエディルス皇子が今食べているミルク味は、練乳アイスがごとく甘々にして作り、中に入っている苺を酸味の強い品種にしてある。

 だから、しつこい甘さにはならないし、食感も含め色々と楽しめるのだ。

「あ、ブルーベリーだ」

 ミルクアイスの中に埋もれているブルーベリーを、エギエディルス皇子は発見したらしい。

 ちなみに、砂糖水で煮たパインアップルも、刻んで入っているのだけど、いつ気付くかな? エギエディルス皇子。

「こういう水分補給もイイな」

 フェリクス王は紅茶味のアイスキャンディーを、ガリガリと食べていた。

 普段甘い物を口にしないフェリクス王が、アイスキャンディーを食べる姿は、なんだか妙に可愛い。まぁエギエディルス皇子は似合っていて、普通に可愛いけど。



「いつものレモン水も、こうやって凍らせて食べるのは楽しいですね」

「確かに。こっちのオレンジアイスも美味しいわよ? あら、少し苦味があると思ったら、皮が入っているのね。ちょうどいいアクセントだわ」

 そうオレンジ味には、輪切りのオレンジピールが刻んで入っている。それにアーシェスが気付いた様だ。

 普段食べているアイスクリームは、お上品な器に入れているから両手が塞がる。だが、アイスキャンディーなら歩きながら食べられるし、片手も空く上に手も汚れない。

 魔物と対峙する事態になっても、すぐに武器を構えられるので遅れを取る事もないだろう。

 アーシェスとローレン補佐官は、遠くにいる魔物と景色を見ながら、初めてのアイスキャンディーを堪能していた。



「んん〜っ!? 冷たくて美味し〜い! ミルクティー味、ほろ苦くて堪らない」

「桃もイイぜ? 中にちょこちょこ果肉が入ってるのが、なんだかご褒美みたいで嬉しい」

「マスカットも美味しいよ。ゴロッと果肉が口に飛び込んで来る感じが面白い」

 互いの味の感想を言いつつ、旅の水分補給は大事だが、作業みたいになるのはつまらないよなと、ランデル達は話していた。

 こうやって違った形で補給するのは、疲れた身体はもちろん心まで癒すのかもしれない。




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