表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

504/676

504 カクテル作り



 リンゴの数は見なかった事にして、莉奈は持って来てもらったリンゴを、水で良く洗って切り始めた。

「ずいぶん、皮を厚めに剥くのね?」

 手伝おうとしていた料理人が、莉奈のリンゴの切り方に驚いていた。

 皮を剥くのではなく、莉奈の切り方は、皮に実がかなり付いた状態であった。

「だね。リンゴの風味も付けたいから、皮を剥くというより削ぎ取る感じ? とにかく、皮を厚めに剥いて水から煮る。色が出るまで煮詰めたら、火を止めて冷やす」

「氷よ、氷!!」

 冷やすと言った途端に、すぐ氷で冷そうとしていた。

 そこまで急ぐ必要なんかない気もするが、莉奈は黙っていた。

 夕食の時間が近いから、シュゼル皇子の分は必要だしね。




 氷魔法が得意となった料理人のトーマスは、氷を欲しがる女性陣に囲まれてデレッとしていた。

 頼りにされるのは嬉しいらしい。

 莉奈からしたら、それはただの恐喝だしタカリに見えるけど。ものは考えようだ。

「リンゴの煮汁が冷えたら、後は赤ワインバージョンのマティーニにレモン汁とコレを好みで入れれば出来上がり。甘さは好みがあるだろうから、砂糖を水に溶かしたシロップを用意して、後入れにすればイイと思うよ?」

「「「分かったわ!!」」」

 ちなみに煮出した後のリンゴは、ジャムとかコンソメスープを作る時の臭み消しに入れちゃえば無駄がない。

 だから、皮を剥いたリンゴと一緒に、捨てないで使い切るように伝えておいた。まぁ、伝えなくてもしっかりと取って置くだろうけど。



「他にも作るのか?」

 リック料理長が他の料理人に任せ、莉奈の所に戻って来た。

 作り終わったハズの莉奈が、まだガサガサと何か弄り始めたからだ。

「マティーニを白ワインにしたところで、フェリクス王が喜びそうにないかなぁと」

 お酒が飲めない莉奈の勝手な想像だが、白ワインにハーブとか入れたドライ・ベルモットほど、このマティーニに複雑な味わいはない気がする。

 なので、それを赤ワインにしたところで、フェリクス王には響かないと思ったのだ。ふぅんで終わらせるなんて莉奈が満足しない。何か驚かせなければ、負けた様な気分だ。

 莉奈は何かないかなと、棚を漁りに漁りまくってとある瓶を見つけた。




「オリーブの塩酢漬け発見」

 良くあるオリーブの塩漬けやオイル漬けではなく、塩酢漬けだ。たまにサラダにスライスしたコレがのっていたので、どこかにあるだろうと思ったのだ。

 今日は、これを使おうと莉奈は瓶の蓋を開けた。

「飾るのか?」

 リック料理長が、横から中を覗いていた。

 マティーニにはオリーブの実を飾るから、これもそうだと思ったようだ。

「違うよ」

「ん? なら、おつまみか?」

「違うよ?」

 そうなのだ。今日は違う使い方をする。

 とりあえず、莉奈は逆三角形のカクテルグラスに、そのオリーブの実を小さなフォークを挿して先に入れた。

 次にカクテル作りに使うミキシング・グラスに氷をザクザク入れ、そこにマティーニのベースのドライ・ジン。で、このオリーブの浸かっていた液体も少し入れる。

「え!? オリーブの浸漬液も入れるのか!?」

「そう。それも使っちゃうのがこのカクテルなんだよ」

 好みもあるから、塩漬けでもオイル漬けの浸漬液でもイイ。

 果汁を入れるカクテルがあるから、たぶん同じ様な感覚で誰かが始めたのだろうと思う。

 あるいは、マティーニにこのオリーブを入れた時に、アレ? 汁も入れたら美味しいんじゃないかと考えたのかもしれない。



「軽く混ぜてグラスに注いだら"ダーティー・マティーニ"の完成」

「「「ダーティー・マティーニ」」」

 オリーブの浸漬液を混ぜているから、少し白く濁っているのが特徴である。

 お酒とお酒、あるいは果汁を混ぜるのがカクテルの定義。だが、オリーブを果実と考えるか否か。

 フェリクス王は気付くだろうか?

 絶対に気付きそうだなと、莉奈は作りながら思ったのだった。

「コレもマティーニか」

「本当にマティーニは種類が豊富ですよね」

 リック料理長とマテウス副料理長が感嘆していた。

 マティーニは種類が豊富だと聞いていた。だが、しかしである。聞くのと見るのとではまったく違う。莉奈が嘘を吐いていたとは思わない。だが、実際に目の前で作って見せてくれると、本当に知っているのは一部なんだなと感嘆する。




「んじゃ、勢いそのままで簡単なおつまみも作っちゃいますか」

 もうこうなったら、おつまみも作っちゃえである。

 面倒なのは面倒だが、弟皇子2人にパンケーキを作っておいて、フェリクス王に何もありませんじゃあ、ガッカリされそうだ。

 一度ヤル気の火ならぬ炎が付いた莉奈は、鎮火するまで作り続けるのであった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ