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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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46 冷凍庫



「あっ!!そうだ!!シュゼ兄……リナが冷凍庫があればいいなって言ってた」

 凍てつく風が吹き始めた部屋に、エギエディルス皇子は一石を投じた。こういう時は、話を変えるに限る。

 こんな時間から酒を飲むなよ……と言いたいが、自分達も好きな甘味を取り上げられる可能性がある。こうなったら話自体を変え誤魔化すしかない。

「あぁ゛?」

 フェリクス王の鋭く不機嫌な視線が、エギエディルス皇子に突き刺さった。脂汗が垂れるのを肌で感じる。

「冷凍庫ですか?」

 その視線にブチ殺されない様に、シュゼル皇子がクッションになってくれた。助かった……とエギエディルス皇子は、ホッとする。

「あ~うん。なんかよくわかんねぇけど……凍らせる箱?」

 確か、莉奈はそんな事を言った。そして、名前は覚えてはいないが氷菓子が出来ると言っていたなと思い出す。

「凍らせる箱……ですか?」

 言われてもすぐはわからないらしく、シュゼル皇子は小さく首を捻った。

「氷菓子ができ……」

「イベール! 早急に作りなさい!!」

 氷菓子と聞こえた瞬間、シュゼル皇子は最後まで聞かずガタリと立ち上がった。

「「……はぁっ!?」」

 フェリクス王、エギエディルス皇子が瞠目する中、シュゼル皇子はイベールに颯爽と指示を出した。

「御意に」

 理解出来たのか、イベールは仰々しく頭を下げると音もなくその場を後にした。そう、冷凍庫なる物を作りに……。

「「…………………………」」

 アホな次兄、弟に兄弟は口をあんぐりと開けていた。呆れていると言っていい。



 …………パシッ。



 何かを叩く軽い音が響く。



「……痛いです。兄上」

「アホなのか?」

 弟シュゼル皇子の頭を叩いた音だった。

「……だって、氷菓子ですよ?」



 …………パシッ。



 もう1つ、頭に軽い平手が落ちる。



「…………アホ」

 もはや、呆れ過ぎて怒る気もないらしい。

「……ふふっ」

 怒られ叩かれても、なお、ほのほの微笑んでいるシュゼル皇子。




「………………」

 そんなやり取りを見ていたエギエディルス皇子は、ふと思う。



 リナ……お前、兄上の開けちゃいけない扉を開けたんじゃねぇか?









◇お読み頂きありがとうございます。


 シュゼル皇子の表現の一つとして使用している

【ほのほ←の】

【ほのぼ←の】の誤字ではありません。

 まぎわらしくて申し訳ありません。

 ( ˙-˙ )スミマセン


 ゆったりとかまったりとか、そういう意味を表現して使わせて頂いてます。

 (*^ω^*)


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