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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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446 "食用ではない"って食べるかーーっ!!



 フェリクス王はやる事があると、シュゼル皇子は二度寝に戻った。

 莉奈と数名の警備兵、そして二度寝をしないエギエディルス皇子が中庭に残っていた。

「とりあえず、朝食にしようか」

 朝露らしきものは見えないし、神経を使ったのでお腹が空いた。

 莉奈はエギエディルス皇子と警備兵に、以前焼き鳥を焼いたガゼボに行こうと勧める。

「「「……」」」

「朝食が早ぇ」

 早過ぎる朝食に、警備兵達は目を丸くさせ、エギエディルス皇子は呆れていた。

 お腹が空いていないと言えば嘘になるが、夜明け前の朝食はピンとこなかったのだ。

「まぁ、ガッツリ食べないで軽く」

「……お前、またぷくぷくに戻るぞ」

 莉奈が朝食前の軽食の準備をしていれば、エギエディルス皇子が席に着きながらポソリと言った。

「エド、今なんか言った?」

「何も言ってない」

 何か言われた気がするが、莉奈は眉根を寄せただけで追求はしなかった。

 だが、エギエディルス皇子の傍に控えていた警備兵には聞こえていたらしく、苦笑いしていた。

 



「パンだ」

 文句は言ったが食べないとは言っていないエギエディルス皇子が、莉奈の出した夜食みたいな朝食に、釘付けになるのは早かった。

 一緒に食べる事になった警備兵達も、恐縮しつつ嬉しそうである。

「この間作って出しそびれたジャムパン、クリームパン」

 バタバタする事が多いので、つい出しそびれたパン達だ。

 右からジャムパン、クリームパン、悪魔のパンと籐の籠に入っている。

 皆は中身の見えない菓子パンより、ガッツリチーズののった悪魔のパンに目がいった。

「この左のは?」

「新作ガーリックパンだよ」

「「「ガーリックパン」」」

 ニンニクの香りとチーズの香ばしい匂いに、エギエディルス皇子達は思わず生唾を飲み込んでいた。

 真夜中なのに、匂いを嗅ぐと何故か食べたくなる。

 莉奈に早い朝食だと口では言ったものの、お腹は正直だった。



 皆の分の紅茶も淹れ「どうぞ」と勧めれば、一斉に悪魔のパンことガーリックパンに手が伸びる。

「うわっ、何だコレ!! バターがジュワって」

「パンがジューシー?」

「ウマイ!! フレンチトーストみたいにふわふわだけど、周りはカリッとしてる」

「また、このチーズが堪らないな。だけど、なんだろう……こんな時間に食べたらダメなパンな気がする」

「分かります!! こっちのクリームパンもトロッとして美味しいけど、やっぱり夜中に食べたらダメな気がしますね」

「ジャムパンも甘くて紅茶にスゴく合うけど……」

「「「夜中には絶対ダメな気がする」」」

 夜中にハイカロリーなパンを喰らい、皆は美味しい美味しいと口にしながら表情は複雑そうである。

 夜中に食べるのが身体に良くないと、直感と経験で察したらしい。



「まさに"罪悪のパン"だよねぇ」

 でも、この人目を忍んで食べる物程、美味しいと感じるから不思議だ。

 莉奈はガーリックパンをちぎって口に放り込んだ。

「「「罪悪のパン??」」」

「このガーリックパン、"悪魔のパン"とも"カロリーモンスター"とも呼ばれるんだよ」

 莉奈はリック料理長達に以前話した別名と意味を教えると、一斉に手が止まった。

 言わずもがなの様である。罪悪感と背徳感に襲われているみたいだ。



「俺は、お前が作る料理その物が"悪魔"だと思う」

 カロリーなんて気にしないエギエディルス皇子が、そう言ってパクリとガーリックパンを口に入れた。

 莉奈の作るモノはものスゴく美味しい。

 だが、大抵がカロリーモンスターなモノである。

 なら、それを作り出す莉奈はもはや"悪魔"ではないのかと。

「え〜、失礼な。美味しいは"正義"でしょう?」

 莉奈は一応抗議しておく。

 悪魔だなんて失礼しちゃう。

「"正義"と"悪"は表裏一体だろ?」

 光と影の様に常に付き纏うモノだと、エギエディルス皇子が口端を上げ紅茶を飲んでいた。

 兄王にソックリの笑い方で。




 可愛いエドくんが、悪魔に見えた莉奈だった。





 ◇◇◇




「だけど、綺麗だよね」

 莉奈は紅茶を飲みながら、淡く光る聖樹をのんびり見ていた。

 暖色系に光る淡い色はなんだか不思議だけど、見ているだけで心が落ち着く。

 そんな莉奈が、聖樹を見ながら突然声を上げた。

「あ」

「あって何だよ?」

 莉奈の"あ"は突拍子のない事の方が多い。

 エギエディルス皇子は反射的に構えていた。

 莉奈がのんびり聖樹を見ていると、聖樹から溢れている光が徐々に集まり、丸い魂みたいなモノとなったのだ。

 それは、フヨフヨと右や左、時にはクルクルと浮遊している。




 【聖魂せいこん

 聖樹から溢れる聖なる光の集合体。

 半径5m〜50mと個体により効力が異なるが、弱小の魔物を遠ざける力を持つ。


 〈用途〉

 特殊な入れ物に入れると、その効力を長時間保つ事が出来る。

 だが、効果は半日〜3日と個体により異なる。


 〈その他〉

 食用ではない。

 聖木からも極々稀に溢れる事がある。





「ンなモノ、食べるかーーっ!!」





 それを思わず【鑑定】して視れば、魔物を寄せ付けない"魔除け"の効果があるらしい。

 だがしかし、莉奈は効力より"食用ではない"の鑑定結果にツッコミを入れざるを得なかった。

 誰が食べると思うかな?

「お前、絶対アレを【鑑定】しただろ?」

 聖樹から溢れている光る珠を見てツッコんだ莉奈を見て、エギエディルス皇子は苦笑いしていた。

 莉奈も莉奈の鑑定も、相変わらずであると。








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