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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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399 美意識高い系?



「はいはい。なら、ローヤルゼリーとポーションを買って来てよ」

 美容液もタダではない。材料費とそれを作る労力がいるのだ。

 クレと言われてホイホイ作る訳にはいかない。

「「私達が買いに行ける訳がないでしょう!?」」

 鱗で見えないが、多分青筋を立てている竜2頭が、至極真っ当な反論をしてきた。

 会話が出来るからといっても、竜が街に飛来なんてしたら、阿鼻叫喚である。そして、そんな事をしたら、間違いなくフェリクス王に始末される案件だ。

 いくら、守護神的な扱いの竜でも、近くで見るのは違うからね。

 人に懐いているから大丈夫だと言われても、猛獣のライオンや熊が街を普通にうろついていたら確かに恐怖しかない。

 害のない厳ついオジサンだって怖いのに、竜なんて論外だ。



「でもさぁ、真珠姫と碧ちゃんまで、キラキラしちゃったら他のりゅうも絶対、私も私もってなっちゃうじゃん?」

 だって、竜はキラキラした物が好きだし。意外に派手好きだし。

 着飾れない竜の唯一のアクセサリーみたいな物でしょう?

 こぞってしたがる気しかしない。

「「だからなんですか! なら、何故、黒いのに美容液を塗ったんですか!?」」

 莉奈が、王竜になんか美容液を塗るからそうなったのでしょう、と目を剥いた。

 しかも、美とは1番縁遠い王竜なんかにと怒り、ズルいズルいと2頭はブツブツ文句を言っている。

「いや、塗ったって言うか……ただの好奇心?」

 悪戯ともいう。

 テヘッと莉奈が笑えば、真珠姫と碧空の君だけでなく、部屋の隅でカタカタ震えていた女子達も絶句していた。



「「……好奇心」」

 莉奈の事だから、何も考えずにただただ面白そうだとやったに違いない。

 そうだ、莉奈はこういう人だったと、全員の頬が引き攣った。

 今回はたまたま美容液で、良い方にベクトルが向いたが、その逆もある訳で……。



「もう、この際、好奇心でも冒険心でもなんでもイイから、私にも塗って下さい!!」

 碧空の君はブンブンと嫌な考えを振り払い、莉奈の顔に顔を近づけた。

 その瞬間、碧空の君の生温かい息が、もわんと莉奈の顔に掛かった。

 碧空の君が何を食べているか知らないけど、嗅いだ事のない奇妙なニオイがするなと、こんな状況なのに思う莉奈。



「聞いているのですか!!」

 無視をされたと勘違いした碧空の君がさらに声を荒げれば、生温かい風が莉奈の顔にさらに掛かり、テンションはダダ下がりである。

 生温かい風って気持ち良いものではないよね? それが、生き物の口から出ているモノなら尚更に。




 ーーゴン!!




「「痛いっ!!」」

 碧空の君があまりにも近くに顔を近付けていたので、莉奈は頭突きをかました。

 ーーのだが、碧空の君の口先は思ったより硬く、頭突きをした莉奈も激痛が走った。

 何も考えずに思いっきりやったから、目の前に星がチラチラ見える。

「何をやっているのですか」

 間近で見ていた真珠姫が、呆れていた。

 莉奈が頭突きをするなんて思わなかったが、された方だけでなく、した方までクラクラしているのである。一体何がしたいのか、真珠姫は呆れるしかなかった。



「あ」

 莉奈は頭突きをしたおかげで、何かピキンと閃いた。

「後で竜の広場に行くから、美容液を塗って欲しい人……じゃない竜を集めといてよ。厳選して塗るから」

 2頭まで鱗がキラキラしたら、絶対に他の竜も塗れと襲撃して来ると思う。

 ならば、先に誰に塗るか決めれば良い。

「「厳選?」」

「厳選」

 莉奈がそう言えば、不服そうな表情を見せた2頭。

「それなら、私達に塗れば良いでしょう?」

「あなたは私の番。厳選するまでもないハズ」

 文句を言ってきた。

 改めて厳選するとなると、弾かれる可能性もあるので嫌なのだろう。

「文句を言うなら、塗ってあげな〜い」

 莉奈はわざとらしく、プイッと顔を背けて見せた。

 だって、碧空の君だけになら塗ってもイイけど、それだと騒ぐでしょう。特に真珠姫が。



「「なっ!!」」

 途端に2頭は反論をヤメ押し黙った。

 莉奈がノーと言うのなら、それまでだからである。

 塗って欲しいからと無理に何かした所で、莉奈は簡単に折れるタイプではない。どちらかというと、武力行使に移るタイプだ。

 そして、訳の分からない薬を飲んで、立ち向かってこられたら分が悪過ぎる。莉奈にはケガはさせられないし、こちらもケガをしたくない。

 最悪、莉奈に何かあったら、あのフェリクス王に抹殺される事だろう。




「「集めればイイのですね」」

 渋々と言った形で、真珠姫と碧空の君は頷いた。

 塗らないと言われた訳ではない。何をどう厳選するかは謎だが、可能性があるのだから、ここは自分達が折れようと納得したのである。

「ちなみに塗るって言っても、全身には塗らないからね?」

「「え?」」

 飛び立とうとしていた2頭にそう伝えれば、羽ばたくのをやめて振り向いた。

 全身に塗ってくれると盛大に勘違いしていたらしい。

「全身じゃないのですか?」

 と碧空の君が言うものだから、莉奈は苦笑いした。

 全身になんて塗る労力も掛かるし、お金がいくらあっても足りない。

「じゃないよ。全身キラキラしたらケバいし、品がないどころか馬鹿っぽいと思うけど?」

 ピカピカキラキラの竜なんて、絶対にナイでしょうよ。

 そんなにキラキラしていたら人からも魔物からも目立つし、そんなデコトラならぬデコ竜なんかに乗りたくない。恥ずかしい。

「「……」」

 莉奈に言われて想像でもしたのか、真珠姫も碧空の君もそれには反論もぐうの音も出さなかった。















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