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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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361 家畜の……。



 ーー結果。




 王竜が使用している温泉を一つ教えると言う事で、この温泉騒ぎは幕を閉じたのであった。



 あのまま探し続け、どこかに温泉を掘るのはいいが、万が一竜が河川を掘り始めたら、人家に弊害が起きるからだ。

 大抵の川の下流には、人家が存在する。

 上流で竜が温泉を掘り、水を堰き止めるのは危険である。いわゆる、ダムだからね。

 そのダムに、何頭も何頭も竜が毎日ドボンと入れば、下流側では災害が起きるだろう。

 溢れた水がうねりうねって、洪水となり川沿いの町や村を、根こそぎ飲み込むに違いない。人災ならぬ竜災である。たまったものではなかった。




 ◇◇◇





「なんですか、コレ?」

 碧空の君はどこかへ行っちゃたし、エギエディルス皇子の竜には怯えられた。

 今日も今日とて竜に乗れない莉奈は、エギエディルス皇子の竜のために果物を用意しようかと、銀海宮に戻ろうとした。

 その時に、フェリクス王がイイ物をやると小さな麻袋をくれたのだ。



 振るとわずかにカサカサと音がする。

 粉なら音はしない。香辛料なら匂いがしそうなモノだ。なんだろうと莉奈は首を傾げた。



「……え?」

 さすがに虫ではないだろうと、莉奈はその麻袋の紐をゆっくり解いた。

 中には、黄金色をした小さな粒がドッサリと入っていた。

「あ!! 米、お米だ!!」

 莉奈は、それが何かすぐに分かった。

 中に入っていたのは、籾殻が付いたままのお米だったのだ。それが小さな麻袋いっぱいに入っていた。念願のお米が、今、手元にあるのである。

 莉奈がパァッと表情を明るくさせれば、フェリクス王は正解だとばかりに、クシャクシャとその頭を撫でた。

「もっと早くに用意出来たのですが、先にホーニン酒を【鑑定】して産地を視てしまったために、随分と遅くなってしまいました」

 すみませんと謝るシュゼル皇子に、莉奈は首を横にブンブンと振った。

 忙しいのに、自分のためだけに探してくれただけで、充分である。

「ありがとうございます!! すっごく嬉しいです!!」

 キラキラッとした莉奈の笑顔に、シュゼル皇子も優しく頭を撫でたのである。



「産地を視たために?」

 エギエディルス皇子は、その言葉が引っかかったのか、兄シュゼルに訊いた。

「えぇ、結論から言えば、それはホーニン酒の原料の米とは違います。あのホーニン酒を【鑑定】したところ、原産地は我が国から行くのには少々困難な場所にありました。ですから、行き方を模索していたのですよ。それが、根本的な間違いでした。己の技能スキルを過信したばかりに、以前"サラン"という田舎町で、家畜の餌として栽培されていた穀物だった、という記憶を失念してしまったんですよ。ホーニン酒の原料その物を手に入れるのは、現時点では困難です。しかし、サランならさほど遠くはありません。品種は違うかもしれませんが、今はコレで我慢して下さいね?」

 エギエディルス皇子に説明した後、シュゼル皇子は莉奈に申し訳なさそうに言ったのだ。

 だが、そんな些細な事など、莉奈には関係なかった。




「全然構いません!! お米なら、何でもイイですよ!!」

 莉奈はさらに頭を下げて、お礼を言った。

 品種がどうなんて、そんな細かい事は今はどうでもイイ。あった事がスゴく嬉しかったのだ。

 しかも、銀海宮の食糧庫にもっと置いてあると言う。莉奈、感動である。




 手作業で精米するのは面倒くさいけどね。

 今は考えない、考えない!!




「"ブタの餌"」

「何かな? エビフライ殿下」

 手に入れた過程より、家畜の餌でピクッと反応したエギエディルス皇子を、莉奈は睨んだ。

 そういえば、エドくん。

 キミは私を喚んだ日に、"ブタ" とか言っていたよね?

「いや、良かったな?」

 莉奈の視線から目を逸らし、プッと笑いが口から漏れたエギエディルス皇子。

「今、絶対に失礼な事を考えたよね?」

 だって、エド、家畜と私に反応したんだもん。



「いや、"ブタ"が食うんだなって」

 プッとさらに、笑いが漏れたエギエディルス皇子。

「ねぇ、エド? シュゼル殿下、"家畜" とは言ったけど"ブタ" なんて一言も言ってないよね!?」

「え? あれ、言ってたよな? ブタって」

「言ってませんよ?」

 次兄に助けを求めたエギエディルス皇子は、瞬殺されてしまった。

 莉奈がムスリと頬を膨らませ詰め寄ると、エギエディルス皇子は口を押さえながら後退りし逃げた。

「いや、だってブタって? え、あれ?」

「人の顔を見て、ブタブタ連呼するな!! あ、コラ、待ちなさい。エドーーッ!!」

「ゴメンって!! お前の顔を見たらつい!!」

「つい!? それがそもそも失礼なんだけどーーっ!?」




 突如として、エギエディルス皇子と莉奈の鬼ごっこが始まった。

 平和で平穏な時間である。

 周りにいた近衛師団兵達も生温かい目で見守っていた。




「手足の短いブタは、あのフォルムからつい肥満の代名詞の様に使いますけど、実際のブタは決して肥満ではないんですけどね。意外に俊足ですし」

「問題はそこじゃねぇんだよ」

「コロコロッとしていて、可愛いですよね? ブタ」

「……」

 ブタと失言して追いかけられる末弟。

 莉奈と弟を見ながら、ブタの解釈をする長弟。



 フェリクス王は、どっちもどっちだなと、2人の弟にため息が漏れたのであった。






















◇いつもお読み頂きありがとうございます。

 ╰(*´︶`*)╯♡


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