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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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306 莉奈撃沈



「コイツのどこが可愛いんだよ!? シュゼ兄、目が腐ったのかーーッて!」

 そうエギエディルス皇子が莉奈を指差せば、今度は莉奈がエギエディルス皇子の頭を叩く番だった。

 どういう言い草だと、莉奈は少々不機嫌になる。

「腐ってるは余計じゃない?」

「じゃ、じゃあ可愛くない」

「はぁァァ!?」

 莉奈はエギエディルス皇子に不満の声を上げた。

 自分を美少女だとは思わないが、エギエディルス皇子に可愛くないと断言されるとイラッとする。



「エディ。女性に可愛くないと言っては失礼ですよ?」

 そう窘めながら、コツンと優しく弟の頭を叩くシュゼル皇子。

 その一方で「リナは可愛いですからね?」と、ほのほのと莉奈の頭を優しく撫でていた。

 莉奈は頭をなでなでされ、エギエディルス皇子の暴言など頭から吹き飛び、半ば撃沈気味。何この破壊力。



「さっさと模写コピーしてさっさと帰れよ」

「はいはい」

 なんだか面白くないエギエディルス皇子が不貞腐れた様にそう言えば、シュゼル皇子は小さく笑っていた。



 では改めてと、シュゼル皇子が少しだけ近づいて莉奈の目を見れば、技能スキルを発動させた。



 痛みもないし、温かくなったりもない。

 莉奈自身に変化はなかった。

 ただ、シュゼル皇子が言っていた様に、彼自身に変化が見られた。



 そう、一瞬だけーー



 シュゼル皇子の瞳の色が "アイスブルー" から "金色" に変わり、何やら紋章みたいなモノが浮かんで見えた気がした。




「怖がらせてしまいましたか?」

 莉奈が呆けた様子で固まってしまったので、シュゼル皇子が不安そうに声を掛けた。

 知らない人なら気にも止めないが、家族の様に親しい莉奈に怖がられたり嫌われたりするのは、少し胸が痛む。

「あの? リナ?」

「スゴイ!! 瞳が金色に変わってキラキラしてて綺麗!!」

「気持ち悪いとか、怖くは?」

「ないナイない!! むしろカッコいい!! もう一度見たい!!」

 シュゼル皇子の不安をよそに、莉奈は想定以上に興奮し喜んでいた。

 それは、立場上のお世辞ではなく素直に喜んでいたのだ。エギエディルス皇子達は呆気にとられていた。

 瞳の色が変わったり、変な模様が浮かび上がれば、どんな屈強な人もつい畏怖を感じ嫌な表情をしてしまうモノだ。

 なのに、嫌な表情どころか歓喜の声を上げるなんてあり得なかった。もう一度なんてまず言わない。



「ふふっ、リナは可愛いですね」

 シュゼル皇子は、莉奈のその言動に今までにない嬉しそうな表情をすると、莉奈をそっと引き寄せ、そのおでこに軽くキスをした。

 


「ふぇ?」



「ありがとうございます、リナ」

 シュゼル皇子の眩しいくらいの笑顔が目の前にあり、莉奈撃沈である。



 おでこに触れた温かいモノはなんだ? とか、シュゼル皇子の渾身の笑顔がキラキラしてて頭が沸騰するとか……。

 許容範囲を完全にオーバーした莉奈は、顔を茹でタコみたいに真っ赤にさせるとパタリと倒れた。

 お酒を飲んでいないのに莉奈は、シュゼル皇子に完全に酔ってしまった様な気分になっていた。



「ゲオルグ! リナを休める所に運べ!!」

 エギエディルス皇子は倒れる莉奈を慌てて支えると、傍で控えていたゲオルグ師団長を呼んだ。

 まさか、兄シュゼルが額とはいえ莉奈に、キスを落とすとは思わなかったのだ。

 エギエディルス皇子はゲオルグ師団長に指示を出し、彼がこちらへ走り寄る間、ずっと自分の袖で莉奈のおでこをゴシゴシと擦っていたのであった。

 



 ◇◇◇




 莉奈はゲオルグ師団長によって、どこかの客間みたいな部屋のソファに寝かされていた。

 莉奈はシュゼル皇子から離れて、ふわふわとしていた気分が徐々に戻ってきた。

 そして、ゲオルグ師団長に抱えられた事が彼の奥さんに知られたら怖いなと、内心身震いしたのは大分たった後の事だった。




「やり過ぎですよ。殿下」

 莉奈が連れて行かれた様子を見て、苦笑しているタール長官。 

 彼もまさか、シュゼル皇子が莉奈に、キスなどするとは思っていなかったのだ。

「フフッ。可愛いかったもので、つい」

 これは本音だ。

 さすがの莉奈も、自分の瞳の変化を間近で見たら、眉くらい嫌そうに寄せる仕草を見せると想像していた。

 なのに、まさか嬉しそうにもう一度と強請ねだられるとは思わなかった。社交辞令とかそんなのではなく、純粋に瞳をキラキラさせる莉奈が、なんだか可愛らしくて仕方なかったシュゼル皇子だった。



 タール長官もそれ以上は何も言わず、小さくため息を吐くのであった。









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