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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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298 魔王様、再降臨



「リーーナーー」

 割れた窓から顔を覗かせたのは、碧空の君……ではなく真珠姫だった。

 うん。超絶不機嫌だ。声でも分かるけど、胸元完全に真っ黒だもん。なんで激怒しているのかな?

 怒られる様な事してないと思うんだけど。


「はぁ〜。真珠姫……また窓ガラスを割って」

 シュゼル皇子は軽やかに立ち上がり、困った子だと真珠姫に歩み寄る。

「リナ。何故、私の部屋はブタ小屋のままなのですか!?」

 シュゼル皇子など微塵も視界に入らない真珠姫は、莉奈を完全にロックオン。

「え?」

「女王たる私を差し置いて、からあげの部屋の改装をするとは、噛みちぎられたいのですか?」

「いやいやいや。何を言ってるのかな? 差し置いてとか差し置かないとか知らないし。頼まれた覚えもないし」

 莉奈は全力で否定した。

 この様子からして帰城して早々、からあげことゲオルグ師団長の竜の部屋を見た様である。

 自分の部屋が手付かずなのに、他の仲間達りゅうの部屋が次々と可愛らしく仕上がっているのが気に入らないみたいだ。

 だが、莉奈は以前シュゼル皇子に部屋の話を聞いただけで、改装しろと真珠姫にもシュゼル皇子にも頼まれた覚えはない。頼まれていないのに、勝手にやる訳がない。



「頼んだハズ」

「頼まれてないから」

「この間ココに来た時、頼んだでしょう!?」

 話がどうも噛み合わない。どうやらこの間、ココに来た時に頼んだつもりでいるらしい。



「頼む以前に真珠姫は陛下にーー」

 陛下に怒られた……と莉奈が言い掛けた瞬間ーー



 真珠姫の身体が凍りついた。



「 "学習" って言葉を知っているか? 白いの」



 魔王様、御降臨である。



 これだけ騒いでいれば、フェリクス王が気付かない訳もない訳で……。

 恐怖しかない声色に真珠姫、ガクガクと震え身体が硬直していた。

 その声と共に、ガリガリと何かを削る様な音が真珠姫に、ゆっくりゆっくりと近付いて来ていた。

 どうやら音の正体は、魔王様(フェリクス王)がメンテナンスしたての対魔物用の長い長い刀の刃先を、地に引き摺る音の様だった。



「リ、リナが……っ!!」

 真珠姫が莉奈のせいにしようとした瞬間、フェリクス王の刀の刃先が真珠姫の喉笛に当たった。

「あ゛ぁ?」

「す、すべて私の責任です」

 言い訳は死しかないと悟った真珠姫は、涙目で答えた。もはや慈悲に縋るしかない。



「で?」

「……で?」

 それで? と促すフェリクス王の冷たい視線に、真珠姫は訳が分からず再び固まった。

 でとは何だ。どうしたら許しがもらえるのか。

 助けを求める様にシュゼル皇子達にチラッと視線を動かした。

 だが、無情にも助けなどくる訳もなく。

「1度頭を冷やして来い」

 そうフェリクス王が言うか言わないか、刀を振り落とすとパチンと弾ける様な音がし、真珠姫の足元にポッカリと黒い闇が現れた。

 闇の周りには、小さなドス黒い稲光に混じり、バチバチと紫色のプラズマが見える。

 刀で "何か" を切ったらしい。

 崩れた壁からチラリと見てしまった莉奈には、それがすべてを吸い込むブラックホールに見えゾッとした。

 何をどこに吸い込むモノなのだろう?

 真珠姫の身体は恐怖で硬直し、顔色は土色に変わっていた。どうやら何をされるのか分かっているらしい。



「っ!? 王よわた、私が悪っ……ギャワーッ!!」

 謝罪など今さら遅かった。

 漆黒の闇が真珠姫を飲み込み始めていた。必死に飲まれまいと暴れて喘ぐ真珠姫。だが、身体がいうことをきかない。

 そして……真珠姫は抵抗も虚しく悲しい悲鳴を一つ上げて、漆黒の闇の彼方に消えていなくなったのであった。


 











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