219 フェリクス王の優しさ
「どう分からない?」
莉奈は、フェリクス王に優しく促されるまま、すべてを話していた。
過去に理不尽な事故にあった事。
それで、自分だけが助かった事。
そして、エギエディルス皇子が自分を召喚した日―――
――――自分は……死のうとしていた事を……。
「お前は何も悪くない」
フェリクス王は、泣きそうな表情をしている莉奈の頬を優しく優しく撫でていた。いつも元気の塊の様な彼女が、いつになく弱っているのが分かったからだ。
表向きは元気に見えていただけで、ずっと前から心は悲鳴を上げていたのかもしれない。
フェリクス王は大きな手で、莉奈をあやす様に……ただ優しく優しく撫でていた。
「……でも―――」
「お前は悪くない」
フェリクス王は、まだ自分が悪いと言う莉奈の言葉を遮ると、優しく諭す様に言いながら莉奈の頭を、いつまでも優しく撫でてくれていた。
『生き残って良かったね』
『可哀想に……』
『他の家族の分も頑張って生きるんだよ』
『家族があなたを護ってくれたんだからね』
『辛いだろうけど頑張って』
……そうじゃない。
そんな言葉が欲しいんじゃない。
ただ……誰かに、こう言われたかった。
『お前は悪くない』
生き残った自分を、家族を助けられなかった自分を、誰かに救って欲しかった。
生きていても悪くはないんだと、言って欲しかった。
ずっと欲しかった言葉を……今、やっと聞けた様な気がした。
「生きてもいい……?」
莉奈は、ポツリと呟いた。
「生きろ……リナ」
フェリクス王の、優しくも力強い声が、莉奈の心に強く強く響く。
その瞬間……莉奈の心がふわりと、解放された気がした。
――――――私は……生きてもいいんだ。




