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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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204 世界をよこせ?



「……ん?」

 どこかで聞いた声だな……と莉奈は声のする方を改めて見た。

 「何をたかってんだよ」

 強請とは言わないが、たかりだなと苦笑いしていた美少年が1人。

「あれ? エド」

 そうなのだ。先程、王宮に戻ったハズのエギエディルス皇子がそこにいた。

「うわっ。で……殿下!!」

「しっ失礼致しました」

 彼に気付くと、皆は慌てて頭を下げていた。

 いつからいたか知らないが、まったく気が付かずにいたのだ。その無礼を皆で詫びていた。

「どしたの?」

 そんな皆をよそに莉奈は実にマイペースである。

 迎えに来てくれるにしても早い。何か急用でもあるのかな?

「お前が絶対に欲しがるモノを、持って来てやった」

 腰に手をあてると、兄王直伝? と言いたい嫌味ったらしい笑みを浮かべる。

 エギエディルス皇子も以前ならともかく、莉奈がこの国に来てからというもの、皆のそんな些細な無礼など気にならなくなっていた。

 


 ……エド君。その笑い方、マジでヤメてくれるかな?



「何。私が絶対に欲しがるモノって? この世界とか?」

 なんちゃって?

 莉奈は何も浮かばなかったので、アハハと空笑いしつつ、ものスゴく適当な返答をしてみた。実際そんなモノは欲しくはないし、持ってはこれないだろうけど。


「「「「「……」」」」」

 皆は絶句した。

 "世界" !?……悪党を通り越して魔王だ。

 そんな言葉をサラッと口にした莉奈に、料理人達は畏れをなしていた。皇子相手にそんな言葉を良く言えると。

 何だかしらないが、膝がガクガクと震えてくる……。


「……は?……お前……ンなもん欲しかったのかよ!?」

 もはや、冗談だか本気だか分からない発言に、エギエディルス皇子は唖然としていた。

 莉奈が絶対に欲しがるモノを、持って来たハズなのに予想外だった。そんな答えが返ってくるなんて誰が想像出来る。

 アレかな? コレかな? なんて普通のやり取りを想像していた自分がバカだった。開いた口がまったく塞がらない。


「え? 冗談に決まってるじゃん。今欲しいのはマヨビームだよ?」

 と人差し指を銃の様に、エギエディルス皇子に向けた。

 何故本気にするのかな? 世界なんか欲しがる訳ないじゃん。面倒くさい。

 今、純粋に欲しいのは、マヨネーズだよマヨネーズ。毎回作るのは面倒だから、指から魔法で出したいくらいだ。

「……俺は……お前が何を言ってるのかが、まったくわかんねぇ」

 莉奈が何を言ってるのかが、さっぱり分からない。

 完全に呆れたエギエディルス皇子が、頭を抱えるハメになったのは云うまでもなかった。




 ◇◇◇




「話を聞いて、よく分かった。お前はバカなんだな?」

 エギエディルス皇子は、厨房に隣接されている食堂で脚を組み、呆れきった様子でため息を吐いた。

 莉奈やリック料理長達から説明を聞き、マヨネーズがなんなのか何故そんなモノを欲しがるのかの経緯がやっと分かったのだ。


「超失礼なんですけど。水を出す魔法があるのだから "マヨネーズ" が出る魔法があったってイイでしょ?」

 莉奈は至極マジメに熱く語った。マヨネーズ……いやマヨビームの必要性を……。

「あのなぁ……」

 エギエディルス皇子はこめかみを掴んだ。

 そんな事を熱く語られても、理解に苦しむだけだった。魔法はそういうモノではない。

 大気中や自然物や身近にあるモノを、魔力で集めて増幅したり変化させて使うモノであって……。

「魔法のなんたるか。ヴィルに1から学び直してこい」

 疲れた様に言った。魔法について魔法省のタール長官、ヴィル=タールに教わったハズだろうと。くだらな過ぎて言葉が出ない。

「ひどっ。マヨラーなら喉から手が出る魔法なのに」

 私はマヨラーじゃないけど。

 マヨラーなら絶対に欲しがる魔法に違いない。

「 "マヨラー" ってなんだよ」

 次から次に出てくる、意味不明な言葉に頭を抱える。

「マヨネーズ好きな人」

 ケチャップ好きは "ケチャラー" とはあまり聞かないけど。マヨネーズだけは何故、マヨラーなんて言うのだろう?

「「なんだそりゃ」」

 リック料理長とマテウス副料理長が、眉間にシワを寄せながら器用に笑っていた。



「そんな事より、私が欲しがるモノって何?」

 マヨネーズの話はどうでも良くなった莉奈は、エギエディルス皇子が先程言っていた言葉を思い出した。

 私が絶対に欲しがるモノとはなんだろう?


「お前……ホント自由だな」

 話の切り替えが急過ぎて、展開についていけない。

 どうしてそうコロッと、何事もなかった様に話を変えられるのか。コイツの頭の中を1度覗いてみたい。

「まぁ……イイ。これを持って来てやった」

 と、エギエディルス皇子は莉奈のテーブルの方に、カツンとペンダントを放った。

「……?」

 持って来てやった? こんなモノを欲しがった覚えはない。

 疑問を感じつつ、ペンダントを手に取り良く見てみる。


 親指程の大きさのペンダントトップは、雫の形をしている。クリスタルかガラスかは分からないが、透明で澄んでいてスゴく綺麗だ。

 そのクリスタルらしき中には模様がある。彫ってあるのか転写してあるのか、どこかで見た事のある模様だった。

 エギエディルス皇子が以前見せてくれた【門の紋章】。竜の翼を門の形に象っている、この国の国旗に似ているのだ。

 角度を変えたりして見ていると、雫型の下の部分に小さい銀色のコインみたいなツマミがあった。それにもなんだか読めない文字が彫ってある。



「回してみろよ」

 莉奈がそのツマミに気付いたのを見て、エギエディルス皇子は面白そうに言った。

「マヨネーズが出てくるとか?」

「出るかよ!」

 マヨネーズから発想が離れない莉奈に、ツッコまざるを得なかった。

 さっき知ったばかりのマヨネーズが、そんな所から出たら恐怖でしかない。


 莉奈は的確にツッコミを入れてくる、エギエディルス皇子に笑いつつ、コイン型のツマミをカチカチと回してみた。



「え……うわ~綺麗~」

 カチカチと回すと、涙型のクリスタルはゆっくりとだが色んな色に変化した。水でも入っているみたいに、中が揺らめいていてものスゴく面白い。

 白・碧・銀……など1つ角度を変えるたび、色も変化する。一通り見てみたが変化しない場所も何個かあった。だが、どの色でも煌めいて綺麗だった。その中でも特に金色と銀色が綺麗に見えた。

 ラメでも入っているのかな? というくらい、ゆらゆらキラキラと中で揺らめいて輝いている。

 莉奈はあまりの美しさに見惚れていた。こんな色の変化するモノは初めて見たのだ。




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