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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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183 ふと思う事



 フェリクス王達が帰った後は、厨房も食堂も戦場だった。

 ガーリックバターのわずかな匂いに、警備・警護兵の人達は新しい料理が出ると騒ぎ出し。

 王は怖かったが、扉のガラス窓から覗いていた人達は、陛下の飲んでいたカクテルも、当然出るのだろうと勝手に勘違いし踊り出す。

 しかし、カクテルの量はそんなにはないと知ればモメ始める。それを莉奈が、ジャンケンで決めろと宥め鎮静化するまで、短い様で長い1日が終わった。




 ◇◇◇




 そして、夜だけは静かに明けたのであった。



 〈状態〉


 いたって健康……少し疲れが見える。

 ……そして下腹ポッコリ。



 莉奈は朝早くから自分を【鑑定】してガクンと机に突っ伏した。

 ナニこの微妙な鑑定。下腹ポッコリいるかな?

 確かにまだ出ているけど!! もうほっといて欲しい。痩せたでイイじゃん! 厳しくない? この鑑定。



「手なんか見てどうしたの?」

 朝を迎え、ラナ女官長が紅茶を淹れてくれた。

 あ~朝食後の紅茶は染み渡る。

「世知辛い世の中だな……と」

「一体なんの話をしているのよ」

 相変わらずの莉奈に、ラナ女官長は呆れていた。


「そういえば、最近リナ痩せてキレイになったのだから、こういう可愛い服着たらどう?」

 モニカが何処からか持ってきた、ヒラヒラとしたフリルの付いたワンピースをクルリと回して見せた。淡いピンクのお嬢様風ワンピースだった。

 莉奈がいつも、地味なロングスカートかパンツルックなのを気にしているらしい。

「そんなの、由緒正しい家柄の人が着ればいいよ。モニカとかラナとかモニカとか」

 食いしん坊キャラになりつつあるモニカには2度言っておく。

 ラナ女官長もモニカも一緒にいて忘れるけど、良い家柄の令嬢である。だから、私のを用意なんかしなくていいから、自分で着ればイイのにと思ったのだ。

 今でさえこんなフレンドリーに接してもらっているが、本来なら自分の身分とは雲泥の差がある。立場としては逆でなければオカシイくらいだった。


「何を言ってるのよ。リナ。1度くらい着てみたら?」

「皆ビックリするわよ?」

 ラナ女官長、モニカは本心からそんな言葉を莉奈に向けていた。

 超優良物件の婚約者候補から、自ら外しているモニカと、既婚者のラナ女官長。王や宰相の婚約者もいなくて、世話をしたり着飾る相手がいなくてツマラナイのかもしれない。


「走れないからイイ」

「「なんで走ろうとするのよ!!」」

 莉奈が疲れた様に言うと、2人から鋭いツッコミが入った。

 そもそもこの王宮で、緊急事態以外で、兵でもない女性がバタバタと走る事自体が大問題である。

 おしとやかにしていれば、莉奈もドコゾの令嬢くらいに見える美貌があるのに、もったいないと2人は嘆いていたのだ。



「そのうち、イヤでも着るようになるんじゃね?」

 いつの間にか入って来ていたエギエディルス皇子が、入り口でニヤリと笑っていた。



 ……だから、キミは私の旦那かね?



 さも当然の様にそこにいるから驚きである。莉奈が令嬢だったら叫び声を上げていたに違いない。



「殿下、一応ノックくらいしてから――」

「ノックもしたし、なんだったら声も掛けてたし?」

 ラナ女官長が建前上注意すれば、エギエディルス皇子は苦笑いしながら歩いて来た。

 どうやら、話に夢中になっていて皇子の存在に気が付かなかった様である。ラナ女官長、モニカは気が付かなかった事に、慌てて謝罪していた。


「エドが暗殺者だったら、私死んでたし」

 莉奈はため息を吐くと、紅茶を一口飲んだ。

 話に夢中になって侵入者に気付かないなんて、どうぞヤって下さいと言っている様なものだ。

「どこの誰がお前を殺すんだよ」

 莉奈の言葉にエギエディルス皇子が呆れていた。

「……誰だろう?」

 莉奈は自分で言っておいて、う~んと首を傾げた。

 仮にエギエディルス皇子がヤるにしても、わざわざ自分の手を汚す必要などない訳で、命令1つで私の首など飛ばせる立場だ。

 ……というか、この国に私を殺して利益のある人物がいない。そこまでの恨みを買った覚えも今の所はない。


「殺す意味ないや」

 自分みたいな人間を消したところで、なんの意味もないや……と結論づけた。

「意味がないとか言うなよ」

 仮にも1つの大事な命なのに、あっけらかんと言った莉奈にはエギエディルス皇子はこめかみを掴んでいた。

 頭が痛いとボヤきつつ莉奈の向かいに座り、ラナ女官長の淹れてくれた紅茶を一口飲む。


「エドもシレッと、いつもラナの淹れた紅茶飲んでるけど……毒でも入ってたらどうするの?」



 ―――ブフ――ッ!!



 エギエディルス皇子が、盛大に紅茶を噴いた。

「汚ないなぁ」

 莉奈は魔法鞄(マジックバッグ)からハンカチを出して、自分に飛んできた紅茶を拭いた。

「ゲホッ……お前……ゴホッ」

「だって私の作ったご飯もサラッと食べちゃうし、あまりにも危機感がないからさ~」

 そうなのだ。フェリクス王を筆頭に、なんの疑いもなく口にするから、信頼関係以前にどうなっているのか逆に心配になってくる。

 別に危害を加える気は微塵もない。だけど、初めから見ず知らずの女の作る物をホイホイ口にしていたし、危機管理は大丈夫なのかな……と。






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