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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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180 確かにくだらない



「くだらねぇ事で呼びやがって」

 フェリクス王は心底イラつき、舌打ちをしていた。

 薄々オカシイとは感じつつも一応来てみた……が、やはり下らない理由だったと、シュゼル皇子に鉄拳を喰らわした様である。

 鉄槌を下されなかっただけ、いいのかもしれない。



「……」

 シュゼル皇子はあまりの痛さに、まだ悶絶していた。



 ……こういう時こそ、ポーションじゃないのかな?



 元ポーションドリンカーのシュゼル皇子を、なんとも言えない表情で莉奈は見ていた。

 ……というか、見ているしか出来なかった。

 だって、自分は喰らっていてもオカシクない言動は、しょっちゅうしているし。寛大過ぎる皆様に感謝感謝である。



 執事イベール、エギエディルス皇子は隅に避難していて、この災害を静観して去るのを待っている様だし……。元凶のシュゼル皇子に至っては、鉄拳の痛さに悶えに悶えまくってどうにもならない。



 ……え? 真っ只中にいる私はどうすればイイのかな?



「えっと……。せっかくいらしたのですから、ガーリックバターをご試食していかれませんか?」

 来たくて来た訳ではないのだろうが、手ぶらでは心が痛むので、提案をしてみる事にした。

 とりあえず、寸胴を魔法鞄マジックバッグに慌ててしまい、フェリクス王を近くのテーブルに笑顔で促した莉奈。

「あ゛ぁ?」

 眇るフェリクス王。マジで怖い。

「よろしければ……カクテルもお付け致しますよ?」

 と心の中でモミ手をしつつ、王の興味のあるオマケも付けてみる。これでダメなら、弟皇子達に任せるしかない。

 空腹だとイライラもする……って私だけかもしれないけど。


「チッ」

 フェリクス王は盛大に舌打ちをすると、テーブルに足をぶん投げ着席した。

 うん? とりあえず持ってこいって事でいいのかな?

「では、少々お待ち下さい」

 莉奈は立ち上がると、腰を90度に曲げ深々と頭を下げた。

 お口に合わなかったらヤバイかもしれない。若干冷や汗を掻きながら厨房に早足で向かった。




 ◇◇◇




 じゃがいものベーコンチーズは、王の分はそもそも作ってあるから良しとして……後はパンにガーリックバターを塗った簡単な物も作ろう。

 ……とリック料理長に頼もうとしたら、全力で拒否された。

 焼いたパンに塗るだけの作業なのに、まさかの拒否。あまりの怯えっぷりに莉奈は苦笑いしか出ない。

 仕方がないので、パンは自分でさくさく作って魔法鞄マジックバッグにしまっておく。


「さて」

 苦し紛れでカクテルなんて言ったものの、まだ何を作るか決めてない。莉奈はとりあえず酒倉に行く事にした。



「何作るんだ?」

 エギエディルス皇子は兄から避難して来たのか、莉奈の後ろをちょこちょこと付いて回っていた。

「陛下用にカクテル……なんだけど、何にしようかね~」

 ノープランで言ったものだから、何も思い付かない。

 以前と同じマティーニじゃ肩透かしだろうし、何か違うカクテルがいい。

 基本的に、ジュースと割る事の多いカクテルの中で、ジュースを使わないレシピを探すのも一苦労だ。

 それに、甘すぎてフェリクス王の口には合わない物もあるだろうし。



 【アマレット】

 原材料に杏仁を使った、ガルシア地方で造られた酒。


 〈用途〉

 杏子の種を使っているため、アーモンドの風味を持つのが特長。


 〈その他〉

 飲料水。



「アマレットか」

【鑑定】で視つつグルリと見てみたら、この間はなかった "アマレット" というお酒があった。

 このお酒、お母さんが飲んでた事のあるアーモンド風味のリキュールだ。その片隅には、ウオッカ等以前なかったお酒が色々と置いてある。

 莉奈が以前カクテルを作ってから、皆も真似して混ぜて飲んでいるらしく、ここに置かれるお酒の種類も増えた様だった。



 ちなみに、この間酒倉に来た時に気づいたけど……魔力の調整をすれば視たい情報だけ視られるみたいだ。



 【アマレット】

 原材料に杏仁を使ったガルシア産の酒。



 こんな風に、用途やその他は省けたりする。

 それを知ってから、イチイチ細かく鑑定しなくて済む物については、簡易な鑑定にしたので目は疲れないし頭も痛くならなくなった。



 【棚】

 マナ杉を使って作った棚。



 ワインとか酒を並べた棚も、簡単に視られて便利。スーパーとかで買い物行った時、ラベルをチラリと見る感覚で済むから楽なのだ。情報量が多いと大変だからね。



「ちょっと甘口だけど、これを使おっかな」

 辛口のお酒も勿論作るけど、とりあえず今思い付いたカクテルはそんな物しかなかった。

 "アマレット" と "ウォッカ" "ドライ・ベルモット "そして "ウイスキー" の4種類を持ち出す事にした。



「エドはカクテルの代わりに、ブラックベリーのミルクジュース飲む?」

 カクテルの飲めない彼が、何となくつまらなそうに口を尖らせたのを見た莉奈は、ジュースの提案をした。

「飲む!!」

 エギエディルス皇子は、パッと花を咲かせた。可愛すぎて思わず彼の頭を撫でていた。

 振り払われるかな……と思ったが、大丈夫だった。最近は少しくらいなら撫でても良いと、お許しが出ているみたいだった。

 気まぐれなネコみたいで、可愛すぎる。これがツンデレってやつですか、と1人大きく頷いていた。



 



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