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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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165 竜と蜥蜴


 本書をお手に取って下さった皆様ありがとうございます。

 (*・∀・*)ノ~◇

 楽しんで頂けたのでしたら、幸いです。





「うわぁ~~っ!! 絶景だ~~」

 莉奈は竜達の誤解をやっと解いた後、竜の宿舎の先にある広場にいた。その先に柵はなく崖になっている。竜が飛来しやすい様になっているのだ。


「あんまり先に行くなよ?」

 後から来たエギエディルス皇子が注意した。なだらかな坂ではなく完全な崖だ。足を踏み外せばひとたまりもない。

「わかってる……でもスゴイね……本当に山の上にあるんだ」

 門の近くは行った事はあっても、外には出た事は一度もない。魔法省の方はある程度、許可が下りていたから近くまでは行った事があるが軍部は別。危険な事もあるし機密も多い。

 なにより、竜を安易に刺激しないためだったのか、近寄るのも許可が下りていなかったのだ。


 そして、魔物の侵入等から守るためなのか、高い塀で囲まれている王宮や他の宮。中にいるだけではまったく、そんな高い山にいたなんて気付きもしなかった。

 莉奈は、初めて見て知ったこの王宮の場所の高さに、景色の素晴らしさに圧倒されていた。



「標高1200……元からあった城を、竜のために改築増築させたとも云われている」

 そう言いながら、フェリクス王がゆっくりとやって来た。

「そのうち、竜に乗せて下の町にも連れて行ってやる。それまでイイ子にしてろ?」

 と莉奈を面白そうに見た。またすぐにでも何かしら、やらかすだろうと思っているのだろう。

「むっ……失礼な! 私はいつでもイイ子ですよ」

 一瞬竜に乗せてくれると言う言葉に喜んだが、後に続く言葉にプイッと横を向いた。

 まるでいつも、何かしているみたいではないか。

「クッ……イイ子は竜なんか食わねぇ」

「食べてません!!」

 これでは知らない人が聞いたら、自分があの竜を喰らうみたいではないか。余程さっきの莉奈の発言が、ツボにハマった様である。

 さっきから莉奈を見るたびに笑っていた。つられて弟まで笑うから、さらに頬が膨れる。

「もう、戻りますよ!?」

 いつまでも笑うフェリクス兄弟を置いて、莉奈は宿舎の方にドスドスと歩き出す。背中から二人の笑い声が聞こえるが無視するのであった。




 ◇◇◇




「ちなみに、竜って何食べるんですか?」

 白竜宮に戻る途中、竜の宿舎を横目にフェリクス王に訊いてみた。

 ゲームだと肉食っぽいし、小説だと何でも食べるイメージがある。では実際は?

 ちなみに、竜の宿舎は今度ゆっくり見せてくれるそうだ。竜が落ち着いたら……との事。まぁ、仕方がないよね。


「昆虫、野菜や果物……あぁ……全然似合わねぇが花も食べるな」

「あ~花……果物」

 あの獰猛なイメージからまったく想像出来なかった。勝手な想像だが、てっきり魔物をバシバシ倒して、肉を喰らうのかと思っていた。ゲームや小説の見すぎらしい。

 しかし、フェリクス兄弟をよそに、莉奈はそこまで驚いていなかった。むしろ、しばらくするとナゼか納得さえして、頷いてみせるくらいだった。


「個体によって、好きな色の花とか果物がある感じですか?」

「ある……が……驚かねぇのか……お前」

 フェリクス王は目を見張った。普通に考えて、竜が花等を食すとは誰も思わない。

 大概そう言われても驚き信じないのだ。なのにそれどころか、莉奈は好きな色があるかと聞いてきた。そんな質問が返ってくるとは思わなかったのだ。


「……そういや、お前……白いのも "姫" って付けてたよな? あれが雌だってすぐにわかってたのかよ?」

 エギエディルス皇子は莉奈が、初めて見た白い竜に "真珠姫" と付けていたのを思い出した。雄か雌か分からない竜に、"姫" なんて付けるとは思えない。

 いくら莉奈が適当とはいえ、竜が怒るかもしれないのにそんな名を付けるだろうか?

「ん? だってあの白い竜、黒い竜より少し頭が小さかったじゃない? だから女の子でしょ?」

 そうなのだ。一回りという程の差はないが、比べると白い方が少し頭が小さかった。だから "雌" だろうと勝手に解釈していた。

「そうだけど……初めて見たのに……すげぇなお前」

 エギエディルス皇子は改めて、感心していた。初見でそこまで分かる人間はほとんどいない。自分も兄に言われて気付いたくらいだ。


「あ~~なんていうか……」

 と莉奈は、キョロキョロする。自分の声が聞こえる範囲内に竜がいない事を確認したのだ。

「なんていうか?」

 エギエディルス皇子が、続けろと話を促す。

「 "トカゲ" と似てるから?」

 莉奈は、竜に聞こえない様にヒソヒソと言った。

 プライドの高そうな竜達が、小さい生き物のトカゲに似ていると言われ機嫌を損ねたらいけないと、配慮したのだ。


「「トカゲ!?」」

 フェリクス兄弟がキレイにハモった。

 そう……莉奈がさほど驚かなかったのは、生態がところどころトカゲと酷似していたからである。

「トカゲも雄の方が少し、頭が大きいんだよ」

 竜もそうだとは確証はなかったが、たぶんそうだろうと思ったのだ。予想通りそうだった。

 生き物によっては、雌の方が大きい事も勿論あるが、トカゲと似ていると思ったからそうだろうと、勝手に解釈していたのだ。

「へぇ~」

 エギエディルス皇子は、竜とトカゲが似ていると言われ、驚くと同時に妙に感心してしまっていた。

「食い物もかよ?」

 今度はフェリクス王が訊いてきた。先程、莉奈が竜の食べ物に言及しなかったからである。

「似ていますね。トカゲも昆虫や虫、果物、花、野菜を食べますね」

「ほぉ」

 フェリクス王も面白そうにし感心していた。知らない事を聞けて楽しいのかもしれない。



 ちなみにだけど……トカゲは主に、幼体の頃は "コオロギ" "ミルワーム" を食べさせて栄養を摂って大きくなる。

 成体になると野菜、花や果物も好んで食べる。栄養バランスも考えて人工の餌、ドライフードの "ペレット" もあげるけど。


 視力は人間と違い色の識別は出来ないらしい。だが、個体によって好きな色が違うから、一概に白黒でしか視れない訳ではなさそうだと、個人的には思う。竜はどうなのだろうか?


 トカゲも怒ったりすると首回りの鱗が逆立つし、不機嫌だと首から胸元にかけて真っ黒になって、不機嫌なのが一目瞭然なのだ。それも、竜と一緒であった。


 トカゲがどんな物を好み、その生態を身振り手振りで説明すると、フェリクス兄弟は莉奈の話を感心し楽しそうに聞くのであった。



 余談だが、成体になってもトカゲは栄養価の高い "昆虫" "ミルワーム" は美味しいのか、ムシャムシャと良く食べる。だが、可愛い~可愛い~で一杯食べさせると……。

 人間と一緒で……ふ・と・る。

 だから野菜、果物中心にするのである。


 莉奈は、その事は言わずに黙っていた。ナゼか言いたくなかったからだ。







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