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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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160 莉奈のメンタル



「……でっか!!」

 竜は想像以上に大きかった。頭から尻尾まで推定5~7m、足から頭までの高さは3m~5mくらい。個体によって違うとはいえかなり大きい、2階のテラスから顔が覗けるくらいの高さはある。

 身体の3分の1は尻尾の長さで占めていた。爪も鋭くて長いし何よりあの長い尻尾で薙ぎ払われたら、ひとたまりもないだろう。

 ゲームに出てくるドラゴンよりもシュッとしていてカッコイイ。スマートと言ってもいいだろう。

 

 腰ほどしかない柵など、竜にとっては無意味に等しい。竜が本気でやれば、簡単に壊せてしまう。竜がソレをしないのは、用もなく人間が近付くな……という警告でもあるのだ。



「お前……マジで怖くないのかよ」

 もはや、エギエディルス皇子は驚きどころか、感服を通り越していた。

 メンタルが強靭なのはわかってはいたが、人と竜とではまったく違う。さすがの莉奈も叫ばないにしても、怯えるくらいはして見せると思っていたのだ。なのに第一声が "でかっ" とは思わなかった。

「カッコイイじゃん……あれ……触っていいの?」

「触れるのかよ!?」

 エギエディルス皇子は、目を見開きツッコんでいた。

 怯えるどころか、さらに瞳をキラキラさせて、そんな事を言うものだから信じられなかったのだ。触りたいなんて言う女は、後にも先にも莉奈だけに違いない。


 竜なんて見る機会も、触れる機会もなかった莉奈にとって、まさに至福の時……触れるのなら触りたいのが心情である。

「気を許していない人間には、簡単には触らせない。機嫌を損なわせるだけだ、迂闊に手を出すなよ?」

 フェリクス王がポンと、莉奈の頭を優しく叩いた。

「……は~い」

 莉奈はフェリクス王の表情(かお)を見れなかった。絶対に顔が赤くなってると、断言出来るからだ。



 ……うっわ……う~わぁ!!



 何その触り方……いつもの顔とのギャップに、キュンキュンするんですけど!?



「…………っ!!」

 だがそんなキュンキュンタイムはすぐに終わり、萌えが一気に冷めた。

 莉奈は赤い顔を隠そうと、必死だったために気付かなかったが、顔を上げた瞬間目の前に "竜" の顔があった。



 あんぎゃあ~!!



 って叫んだのは心の中だった。

 そうだった……竜はノシノシと歩いて来ていたではないか。それに気が付かないほど、萌え萌えしていたらしい。

 実際人間って驚き過ぎると、声なんか出ないものだ。



「あの……すみません……鼻息が顔に当たるんですけど?」

 生暖かい竜の鼻息が、莉奈の顔にフーフー当たっていた。驚きを通り越すと人って冷静になる様だった。お触りの許可があったのならその竜の顔を叩いていたに違いない。

「……竜が……眼前にあって……お前メンタル "マジ神"」

 エギエディルス皇子は唖然としていた。竜が目の前にいれば、さすがの莉奈も叫ぶと思っていた……だから、竜が興味本位で近付いていたのを、わざと黙っていたのに、そんな反応あるかよ? と。


「……くくっ」

 フェリクス王はくつくつと笑っていた。王も同様、莉奈がどう出るか面白がっていたのだ。

 叫んだとしても、竜は自分が抑えられる……だから弟同様黙っていた。自分に臆さない莉奈でも、さすがに竜相手では?……と。

 なのに "鼻息"……コイツのメンタルを撃ち破るヤツなんていないと、感服さえしていた王だった。



『おぬし……我が怖くないのか?』

「……ん?」

『我が怖くないのかと訊いておる』

 莉奈は、何処から声が聞こえて来たのか分からずキョロキョロ。

「今度は……なんだよ?」

「いや……なんか変な声が――」

 頭の中に? とエギエディルス皇子に言っていたら、頭上から――

「我の声を変とはイイ度胸をしておるな」

 と先程聞こえた声が、今度は耳にハッキリ聞こえた。



 ――――竜がしゃべった~~っ!!



 そう……目の前にいる竜、漆黒の竜の声だった。念話で送ったものの気付いていなかったため、わざわざ声を出した様だった。



「……え? 声帯どうなってるの?」

 自分でもビックリだが、そっちが気になってポロリと出ていた。人の声帯とはまったく違うハズ。モノマネ出来る鳥みたいなものなのか?

「はぁ~~っ!? そこ? そこなのか!?」

 エギエディルス皇子は瞠目していた。普通は竜が話し掛けてきた事に驚くんじゃないのかよ……と。


「「「…………っ!?」」」

 遠巻きで見ていた近衛師団の皆は、色々な事に驚き過ぎてナゼか手が小刻みに震え始めていた。



 まず1つ……莉奈と王達の関係が近い事。

   2つ……彼女は竜を初めて見たハズなのに驚かない事。

  そして……竜が人の言葉を使い、番ではない莉奈に話し掛けた事。



 すべてが、ありえなさ過ぎて震えが止まらなかった。初めて竜に会った時の様な、妙な震えが電流が走る様な衝撃が身体を走っていた。



「……ハハハハハ!!」

 周りの空気が大きく振動した、暗黒竜が爆笑したのだ。

 王以外が驚愕し腰を抜かす者もいた。一体何が起きているのかさえ分からない者もいた。竜が声を上げて笑うなど、ほぼないのだ。

「え? 何が可笑しいの?」

 竜が笑うとしても、何がそんなに面白いのか莉奈には皆無だ。エギエディルス皇子の顔を見た。

「お前だよ!!」

 ツッコまざるを得なかった。なんでこんなにメンタルが強靭なのか知りたい。なんだったら見習いたいぐらいだ。

「へ? なんでよ?」

「普通の人間なら……我を見たら怯えるのが通常……王よ……コレは人の子なのか?」

 漆黒の竜はフェリクス王に問う。数百年以上生きてはいるが、自分を初めて見て驚かない人間は、この眼前の王とこの娘くらいなものだった。

「……さぁな?」

 とフェリクス王は愉快過ぎると笑っていた。






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