156 竜騎士団
「……どう致しますか?」
からあげを堪能したシュゼル皇子は、ミルクセーキをゆっくりと味わっていた。飲んでいるのはお子様用のジュースなのに、ナゼか絵になるから不思議である。
「どうもこうもねぇだろう。これだけ旨く……しかも普段食ってる鶏肉より量が摂れる。こんな雑魚相手に危険もねぇとくれば……問題はねぇだろう」
フェリクス王も機嫌が直ったのか、エールを片手に寛いでいた。
莉奈的には、あのデカイ鳥の魔物相手に "危険がない" と表現している事が気になっていた。
……すみません、ソレ誰からの視点で言ってますかね?
あの大きな嘴でつつかれたら……私あの世からお迎え来ちゃいますけど?
「んじゃ、明日から討伐の許可出すのか?」
エギエディルス皇子が、なんだか楽しそうに言った。ロックバードが常時食べれる事になるのが楽しいのか、それとも討伐が楽しいのか知らないけど。後者だとしたら……イヤなんですが。可愛いままでいて下さい。
「まずは、王城周辺から討伐。徐々に範囲を広げ、同時に配給する。リナはどの部位が食えるのか、本当に害はないのか、明日もう1度鑑定をしシュゼルに」
「……御意」
と莉奈が恭しく言えば、フェリクス王だけでなく王弟2人にも笑われた。どうやら似合わないらしい。まったく失礼極まりない。
「ゲオルグ」
「はっ」
「【竜騎士団】を動かす許可を与える。竜は雑魚相手に不服だろうが、明朝空からロックバードの群れを見つけ、殲滅させるつもりで狩ってこい」
「御意に」
ゲオルグ師団長は、左胸に右手を添え恭しく頭を下げた。
……え? ……竜!?
……竜いるの!?
……竜騎士――!!
莉奈は興奮して胸が高鳴った。竜なんかファンタジーかゲームの中にしか出てこない、幻想の生き物だと思っていた。
なのに、いるのか!! 魔物がいるのだから、いてもおかしくはないけど!! マジか!!
「お前……興味津々な?」
真向かいに座るエギエディルス皇子が、笑っていた。
莉奈が小さい子供みたいに、瞳をキラッキラッとさせていたからだろう。
「だってエド! 竜だよ竜! あっちの世界じゃ幻想の生き物なんだよ!!」
莉奈がめずらしいくらい興奮していた。
そんな姿に、フェリクス兄弟達は目を見合わせ笑った。なんだか可愛い過ぎるくらいであったのだ。
「竜に興味があるのかよ?」
フェリクス王が妙に高いテンションの莉奈に、仕方がない子供を見る様な優しい目で見ていた。
「ある!!」
興奮し過ぎて、もはや敬語が吹っ飛んでいた。竜が間近で見られるのなら、是非とも見たい。
「フェル兄、明日見せてやれば?」
エギエディルス皇子が、そんな嬉しい事を言ってくれた。
「…………」
見せろ~見せてくれ~と言っている、莉奈のキラッキラッした瞳にフェリクス王は苦笑する。
「怖くはねぇのかよ?」
大抵の人間は、怯えるか腰を抜かすか叫ぶかだ。竜の存在は畏怖しかないのだ。なのに実物を見ていないにしても、こんなに高揚して瞳をキラキラさせる女はいなかった。
「だって竜騎士の竜でしょ? 人を襲う訳ないじゃん!!」
そんな莉奈に、フェリクス王はなんだか妙に、頭を撫でたい心境になっていた。
竜とて他国では "魔物" として扱われる。そんな見た事もない竜に対して、ナゼか信頼さえしているからだ。ナゼだか可愛いく見えて仕方がなかった。
「……なら、俺の竜を明日見せてやろうか?」
とフェリクス王が呆れた様に笑うと、莉奈は「やったぁ!」と小さくガッツポーズを出していた。




