127 可愛いでしょう?
「まぁ……職務中にお酒は……と、私も同意見です……」
確かに、職務中に飲酒は良くないよね?
ジンライムのシャーベットは出しましたけど。
「……オイ」
フェリクス王の、不満気な声が掛かった。
出しておいて、それはないだろう……と言いたいのだろう。
「……ですけれど」
ここからは、私の個人的な感情だ。
だって、後でって事になったら、フェリクス王がカクテルを気に入ったかなんて、まったくわからないじゃん。
「私がココに来るまでの間の、迷惑料……という事で、今回に限り目を瞑られて下さい」
そういう事にして、飲ませたい。
ちなみに、迷惑料は私のせいではない。
「リナが来るまでの……? どういう事ですか?」
なんの事かわからないシュゼル皇子は、首を傾げる。
「陛下にかけた迷惑料ですよ?」
「…………迷惑なんて、かけたのですか?」
「私ではないですよ?」
と微笑んでみる。
いや、しらない間には、かけているのかもだけど。
誰が誰にかけたのでしょうか?
「………………え? なら、誰ですか?」
ここまで言っても、わからないのか。わかりたくないのか。とぼけているのか。
「あの机はどなた様のですか?」
とフェリクス王に並んでいる、机をチラリとみつつ、不敬を承知で質問を質問で返してみた。
「……………………………………」
シュゼル皇子の、やたらと長い沈黙が……。
まさか、自分に降りかかるとは、露とも思わなかったのだ。
フェリクス王は、目を細め不敵に笑う。
「アイスクリームは、後でお出し致しますので、少々お待ち下さいね?」
沈黙は承諾と解釈し、莉奈はニコリと微笑んだ。
言い訳でもあるのなら、ドンとこい。
「たまの、兄弟水入らずだったのですが……今回は、リナの顔を立てましょうか」
わざとらしく、ため息まで吐いて見せた。
ナ~ニ~が、私の顔を立てるなのかな?
「……だそうですよ? フェリクス陛下」
苦笑いも出なかった。無理して笑おうとしたから、顔がひきつったし。
兄弟水入らず? それが、並んで仕事する理由ですか?
聞いた事がないよ、そんなの。
「何が、水入らずなんだ。アホが」
やはり、そう思ったのか呆れたフェリクス王。
「可愛い、弟ではありませんか」
爽やかに微笑むシュゼル皇子。
自分で可愛いとか、言っちゃうんだ。
「てめぇを、可愛いなんて思った事はねぇ」
心底、渋面顔をしたフェリクス王は言い放った。
何がどうとったら、可愛い弟なのか。可愛いなんて思った事は、1度としてない。
「照れなくても、いいのですよ?」
とニコリと微笑む。
「イベール……コイツをつまみ出せ」
フェリクス王は、手で追い出す様に払った。
本気でウンザリしていた。
「………………」
イベールは、無言、無表情だった。
本気で、追い出すべきか否か。
……アハハ。
イベールさんも、大変だ。
他人事なので、笑う莉奈であった。




