121 お待ちしておりましたか……。
「お待ちしておりましたよ……リナ」
フェリクス王の執務室に入ると、満面の笑みのシュゼル皇子が、待ち構えていた。
「……お待ち……して……おりましたか」
莉奈は、アハハと空笑いしていた。
明日とは言った……様な気はしていたが、時間指定はしていない。
なんだったら、まだ呼んでもいない。
なんでいるのかな?
「ささっ、イベール、リナにお茶を……」
上機嫌のシュゼル皇子は、莉奈にソファーを勧めつつ、自分も向かいの席に着く。
「………………」
いや、別にお茶は要りませんけど? とは言えない雰囲気だ。
イベールが無言で紅茶を淹れ始めたし。
そういえば……ソファーに座ろうとした時、目の端にチラリと見えたけど……王様の机の隣に、なんだか見慣れない机がもう1つ並ぶ様にあるんですけど……ありましたっけ?
イベールのは、別にあるのは確認したし……。
……ん? あれは……ダレの?
「エド……あの机……」
コソコソっとエギエディルス皇子に訊いてみた。
この間は初めて王の執務室に来たから、舞い上がっていて見落としていた可能性もある。エギエディルス皇子なら、わかるかも……と。
「……た……ぶん……シュゼ兄の」
ものスゴく、呆れている表情をしている。
フェリクス王もよく見れば、なんだかお疲れの様だ。
………は?………マジで?
……いやいやいや。
この間なかったよね?
しかも、エドが呆れてるって事は普段はないって事?
まさかとは思うし、考えたくもないけど、ここに私が来る事を想定して……仕事をしながら待っていた感じですか?
自分の執務用の机を持参して、そこで……。
……あ~り~え~な~い。
そりゃあ、フェリクス王も疲れるよね?
100歩譲って、エギエディルス皇子ならありかもだけど……。
まったく幼くもない弟が、自分の執務の机を持参して来て……ナゼか隣で仕事をしているって……。
……ご愁傷さまでした。
莉奈は、フェリクス王にそんな言葉を投げ掛けつつ……
「……では、失礼致します。……よっこいしょ」
勧められたソファーに座った。
あぁ、座り心地がいい事で……。
「「……ババァ」」
フェリクス、エギエディルス兄弟にツッコまれた。
「………………」
この、クソ兄弟が!! と睨んでおく。
だが、2人は同じ様にニヤニヤ返してくるだけだった。
……あ~~。
……可愛いエドまで……フェリクス王に見えてくる……。




