109 エスプレッソ紅茶とアイスクリーム
先に、シュゼル皇子に焼きリンゴを出した後、莉奈は、アイスクリームを小さな皿によそった。
それを、エギエディルス皇子の前に置く。そして、別に用意した濃く煮だした紅茶を添えた。好みの量をかけられる様に、別の入れ物に入れてある。
紅茶版エスプレッソ、いわゆるアフォガード。コーヒーでやった時、美味しかったから、紅茶でも……と作ってみた。
これをかければ、また違った味わいになるハズ。紅茶のアイスクリームを作るより簡単だし、なにより苦味を調節出来るからいい。
子供には、少し苦いかもしれないけど、普段から紅茶に親しんでいるし、調節も出来るし良いかな……と用意してみた。
「エド、この紅茶少しかけてみて。ミルクアイスとはまた違って美味しいよ?」
「……マジか!!」
新しい食べ方に、エギエディルス皇子の可愛い瞳が、キラキラした。ただでさえ、甘くて冷たくて美味しいアイスクリームが、また違った味になるのだ、嬉しいのだろう。
「紅茶はちょっと苦いからね? 少しずつ調節してみなよ?」
と、一応食べ方を説明する。後は、好みの問題だ。気に入ればかければいいし、苦くてダメならやめればいい。
「……うん! わかった」
実に良い返事だ。頭なでなでしたいな~と口が綻びる。
「……えっと……私に……アイスクリームは……?」
一部始終見ていたシュゼル皇子が、首をコテンと傾けた。
「…………」
焼きリンゴあるから、いいかなぁ……と思っていたからビックリだ。まさか、アイスクリームまで御所望とは。
まぁ、焼きリンゴにアイスクリームのせても、美味しいけど。たぶん、そういう事ではないのだろう。
「…………シュゼル」
フェリクス王が呆れていた。すでに1つデザートを出して貰っているのに、まだ欲しがっているからだ。もはや、末の弟と大差がない。
「えっ? だって、アイスクリームですよ?」
きょとんと、シュゼル皇子は、さも当然の様に言った。なにがアイスクリームですよ……なのか、わからない。
「「………………」」
エギエディルス皇子も、莉奈も唖然とした。甘味に目覚めた宰相様は、もう誰にも止められないのかもしれない。
「………………はぁぁ」
フェリクス王は、それはそれは深いため息をついていた。




