108 弟みたいで、可愛いよね
「……はぁ~食った食った」
沢山食べれて大満足だったのか、エギエディルス皇子がお腹をさすりながら言った。
厨房にいると、色んな人の、色んな目線があるから、量はそんなには食べれない。
……というか、あそこで大量に食べていたら、そのうち睨み殺されてしまうだろう。
…………おもに、モニカにだが……。
「……美味しかったですね~。レモンをかけるとまた、サッパリいただけて」
至極ご満悦なシュゼル皇子は、イベールの淹れてくれた紅茶をのんびりと飲んでいた。
今までポーションばかり飲んでいた割には、結構からあげを食べていたと思う。少食……という訳ではなさそうだ。意外な驚きだった。
「からあげ、旨いよなぁ~」
エギエディルス皇子も、沢山食べれてご満悦らしい。
「レモンは平気だった?」
塩からあげにもかけて食べていた様だから、訊いてみた。
「逆にサッパリして旨い。からあげがいっぱい食える」
と嬉しそうに言うから、莉奈の口はついつい綻びる。
「そっか、それは良かったね……あっ、食後のデザート食べる?」
可愛さマックスな幼い皇子には、ついつい甘くなる。
「食べる~~!!」
ほら、可愛い。
笑顔が弾けるって、こういう事だよね。
モニカも見習えばいいのに……美人が台無しだよあの人。
「……私にも、頂けますか?」
とシュゼル皇子は、小首を傾げてニッコリと微笑んだ。
…………おふっ。
鼻血が出そう……って、こういう心理か!!
男が小首なんか傾げても、普通だったらイタイのに……。
シュゼル皇子は、イタイどころか眩し過ぎる。
モニカさん!! これだよこれ!!
この美し過ぎる笑顔を向けられたら、皆モニカに食べ物譲ってくれ……。
……たりはしないか……。
皆、食べ物に対しての執着心、どうかしてるもん。
「焼きリンゴ、作って来ましたけど、食べ……お召し上がりになられますか?」
丸々1個ではなく、4分の1にカットしてある。好き嫌いもあるだろうし、それに1個じゃ多いしね。
「焼きリンゴ……ですか?」
小首を傾げて訊いたシュゼル皇子。
初めての物はやっぱり、想像出来ないよね。
簡単な説明がてら、出そうとしたら……隣から声が。
「違う……"焼きおリンゴ様" だよ」
エギエディルス皇子が、いたずらっ子の様に、クスクスと笑いながら言った。
まだ、あの説明がツボにハマっているらしい。
「……え? ……焼き……おリンゴ……様?」
シュゼル皇子は、なんとも云えない表情をした。笑いを堪えている様な、苦笑いの様な……。
「…………大層なネーミングだな?」
フェリクス王は、くつくつと笑っていた。
「……エ~~ド」
少し睨みながら莉奈は、からかってくれた皇子の名前を呼んだ。
……フェリクス王達の前で、なんでそれを言うかな?
「アイスクリーム出してあげようと、思ったけどあげな~い」
莉奈は、わざとらしく怒った様に言って魔法鞄から手を離した。
「えぇ~~!?」
と衝撃的な声を上げた。せっかく、アイスクリームをくれる予定だったのに、余計な一言でなくなったからだ。
そんな、エギエディルス皇子を無視して莉奈は、のんびり紅茶を飲む。
「ゴメンってば~!」
とエギエディルス皇子が慌てた様に謝ってきた。デザートが貰えないのは余程、イヤな様だ。
「……ふふっ」
スゴい可愛い。思わず笑いがもれた。
背伸びしないで、素で接する様になったエギエディルス皇子は、ものスゴく可愛い。




