104 遠くで見るくらいが丁度いい
まぁ、結局……匂いに負け現実逃避した皆は、じゃんけんタイムに突入。勝った一部の人は、ハイカロリーのからあげを、それはそれは美味しそうに食べていた。
そして莉奈の作る、美味しい物は大半が "糖" と "脂肪" で出来ている訳で、この調子で運動もせず食べていけば、第2、第3の莉奈が出来ていくのだろう。
アハハ……仲間が増える~~!!
「……お前……ナニ……ニヤニヤしてるんだよ」
若干引き気味な、エギエディルス皇子。
2人でフェリクス王の所へ行く途中なのだが、1人でニヤニヤしていたからだろう。
「オホホッ……」
莉奈は、口元を押さえ笑って誤魔化した。まさか、デブが量産されるかもしれないのを、楽しんでいるなんて言えない。
「………………」
さらに、1歩エギエディルス皇子は引いた。
ロクな事を考えていないと、察したのかもしれない。
「……どうでもいいけど、王様達はなんで私を呼んでるの?」
王の下に近付くにつれて、かったるいな……と、莉奈はため息が出た。
「あぁ、パンの事だよ」
昨日、フェリクス王達に渡した、柔らかいパンの事だと言った。
莉奈から、夕食として受け取ったパンは、兄達にものスゴく驚かれ、エギエディルス皇子も詳しく訊かれた。
だが、作り方さえ知る訳もなく、直接の方が早いと、呼ぶように言われたのだ。
「うわっ………面倒くさ~~~い」
作るのも、説明するのも、面倒くさいなと莉奈は口にした。
1から説明するのも大変なのに、0からだ。面倒くさいの極み。
「お前……マジで……豪胆っていうか……」
王に逢う緊張よりも、説明しなければならない事に、嫌気がさしているなんて、普通だったら考えられない話だ。
大抵は、極度の緊張で顔が蒼白になったり、震えたりするものだが、莉奈に至っては面倒くさがって、渋面顔なのだ。そんな人間が今までいただろうか……。
「あげなきゃ良かった」
と肩まで落として見せる。
「……お前なぁ」
挙げ句のコレだ。エギエディルス皇子も苦笑いしか出なかった。
◇◇◇
「うっわ……」
あっという間に、フェリクス王の執務室に着いてしまった。
謁見の間でないだけでも、いいのだろうけど……なんか、これはこれで緊張する。空気が重々しい。
「……遅かったですね?」
扉の前には、警護兵はいなかったが、代わりに執事長様がいた。
いつから、そこにいたかも分からない。機嫌が悪いのかも分からない。相変わらずの無表情のイベールがそこにいた。
なんだ、あのカッコいいヤツ見れないのか……。
以前、謁見した時に見た、警護兵の槍を床に1回叩くあのカッコいい知らせ。莉奈は、少し期待していただけに、ガッカリだった。
「あーー……言うの忘れてた?」
莉奈がガッカリしている横で、エギエディルス皇子が、苦笑いしつつイベールに正直に言った。それが、正解とは思えないが、ウソをつくよりはいいのかもしれない。
「………………………………フェリクス陛下達が、先程からお待ちです」
前半のものスゴい間が、怖いと思うのは私だけだろうか?
まぁ、私も忘れてたエギエディルス皇子は、どうなのかな……とは思いましたけどね?
イベールは、中にいるフェリクス王に莉奈達が来たのを伝えると、扉を開けて中へと促した。
……うげっ。
超絶美形な王様達が、ガッツリこっちを見ていた。
そして、お高そうな上座のソファに、長い足を組んだフェリクス王が、面白そうに口端を上げて見ている。
相も変わらず、カッコいい。気を抜くと見惚れてしまいそうだよ。
シュゼル皇子は、相も変わらず、ほのほのと微笑んでいますけど……くやしいくらいにお美しい。写メ撮りたい。
「…………………………」
私……思うんだけど、フェリクス王が笑っている時って、ロクな事がない気がする……。すみませんが、横向いてもらってもいいですか?
この二人とは……。
アイドルとファンぐらいな、距離感でいたい……。
……と、思う莉奈だった。




