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第34話・変わっても変わらないもの

 幼い頃の知り合いであるシエラと15年ぶりに再会したアースラは、先にシャロを猫飯亭へ向かわせたあと、人気の少ない場所へ移動してシエラが落ち着くのを待った。


「ようやく落ち着いたみたいだな」

「うん、ごめんねベル君」

「いや、それは別にいいが、それにしても本当にあのシエラなのか?」

「信じられない?」

「ガキの頃のシエラしか知らんから、色々と信じられん部分は多いな」

「あの頃とどんなところが違う?」

「見た目も含めて色々だよ、あの頃はちんちくりんのガキでほとんど喋らなかったし、なにより甘えん坊の泣き虫だったからな」

「ベル君てばそんな風に思ってたの?」

「ガキの頃はマジでそんな感じだったじゃねえか」

「それはそうかもだけど……そういえばベル君、今でも意地悪で口の悪いところは変わってないみたいだね」

「誰にそんな話を聞いたんだ?」

「もちろんシャロちゃんだよ」

「あのガキ、あとで覚えとけよ」

「あんまり酷いことをしちゃ駄目だよ? シャロちゃんは凄く繊細な子なんだから」

「わーってるよ、それよりもどうしてシャロと一緒に居たんだ?」

「ああ、それはね――」


 アースラの問い掛けに対し、シエラはここまでの経緯いきさつを話して聞かせた。


「なるほど、まさか今回の仕事で世話になってたとは思わなかったよ、ありがとなシエラ」

「ううん、お礼なんていいよ、私もシエラちゃんが一緒だったから頑張れたわけだし、お互い様だよ」

「そうか、まあ色々と聞きたいことや話したいことはあるが、とりあえずは晩飯を食いに行こうぜ、シャロも猫飯亭で待ってるだろうからな」

「うん、私も頑張ったからお腹ペコペコだよ」

「よっしゃ、そんじゃシャロが世話になった礼に今日は俺が晩飯を奢ってやるよ、どうせ今でもアホみたいに食べるんだろ?」

「嫌な言い方だなあ、そんなんじゃ女の子にモテないよ?」

「別にモテる必要なんてねえからどうでもいいよ」

「だとしても、もう少し言い方は考えた方がいいと思うよ? シャロちゃんの教育にも良くないし」

「へいへい、努力しますよ」

「まったくもう、全然変わってないねベル君は」

「お前が変わり過ぎなんだよ、良い意味でも悪い意味でもな」

「へえー、それじゃあその良い意味と悪い意味を食事をしながらゆっくりと聞かせてもらおっかな」

「面倒くせえ奴だな」

「面倒くさいのはお互い様でしょ」

「わーったわーった、俺の負けだよ、とりあえずさっさと猫飯亭に行くぞ」

「うん」


 こうしてアースラはシエラを連れ、シャロが待っている猫飯亭へ向かった。

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