第六話
「まさか、購買がここまで激戦だとは……」
購買に着いた時間が昼休み開始15分。すでにパンの棚は空っぽであった。唯一買えたのは、棚一段分残っていた『樫原踝学院長特製!クルクルプリン』だけだ。人気が無いんだろうか……。
そして、教室に帰る前にやることがあったので寄り道していく。
「あったあった」
そこは、クリスと戦闘したグラウンド。よく見ると、弾丸が落ちている。
これを回収し、魔術痕跡を探せば多少の手がかりになるはずだ。
学院内の人物なのか、外部の人間なのか、全くと言っていいほど手がかりがない状況では、この弾丸は重要な遺留品だ。
回収しようとポケットから手袋を出そうとしたとき、妙に学内デバイスが騒がしいことに気付く。
「うわ、なんだこれ」
通知欄には、メッセージアプリにたくさんの知らない人物からメッセージが届いていた。
『週刊樫原です、来週の学内新聞の為にインタビューをしたいのですが……』と似たような内容がたくさんだ。
応じる気はさらさら無いので、通知を切っておくか。
「さて、弾丸はっと――――」
遺留品を回収しようとしたとき、一瞬でヤバい状況だと気づいた。
目の前には、猫が弾丸を咥えている。そして、馬鹿にするように俺を一瞥すると急に駆け始めた。
「待て待て待て待て待てぇえええ!!」
急いで追いかけ始める。
撃ち殺すほどではないが、もし何かあればそれも厭わない。それほど重要な証拠なのだ。
猫は、勝手知ったるかの如く学院内を駆け回っていた。現役を退いたと言ってもまだまだ体力があると思っているが、猫はそれよりも体力があるようだ。
「追い込んだぞ!もう逃げられまい!」
猫は最終的に、ゴミ収集庫に逃げ込んだ。逃げ場がないということに気付いたのか、おとなしく棚の上に弾丸を置き、ちょこんと座っている。
「よーしいい子だからそのままでいるんだぞ……」
「……ニャッ!」
と言った瞬間に、猫はその弾丸を蹴飛ばしやがった!
そして、弾丸はゴミ収集箱の中へ。
そのまま走って逃げていったが、追いかける場合じゃない。弾丸を探さなければ!
全校舎のごみが集められている場所なので、この中から見つけるのは至難の業。下手に動けば、中へ入っていってしまうかもしれない。ゴミ袋の海と化したこの中から、弾丸を見つけなければならない。一体、どんな苦行なんだ。
「よし、行くぞ」
覚悟を決め、ゴミ袋の海に身を投げると決めて、飛び込んだ!
「……アンタ、何してんの?」
「はへ?」
ゴミに上半身を埋めている俺の姿を、侮蔑のまなざしで見つめるクリスの姿が声で予想できた。
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モチベがめっちゃあがります。




