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第六十一話

「騒ぐな! おとなしく両手を――――――え?」


 脅迫の口上も、止まってしまった。

 赤いツインテールも、銀髪少女も、黒いセミロングも、見慣れた人物と一緒であったから。 

 否、同一人物であったから。


「――――比巻にイリス、クリス、三人がなんでここにいるんだ?」

「こっちのセリフよ、それにその恰好……なにしてるのよ、カズスケ」


 まさか、こんなところに三人がいるとは思っていなかった。

 知り合いじゃなければ、容赦なく眠らせていたが、そういうわけにもいかなくなった。

 この姿に、排気ダクトから登場だ。言い訳は聞いてくれそうにない。


『なんでこいつらがいるんだ……』

「どうしますか」

『仕方ない、眠らせるしか――――』

「ちょっと、その……銃を下ろしなさいよ」

「…………」

「なんか言いなさいよ……ねぇ」


 拳銃を向けたままだったので、怯えてしまっている。


 恐れていた出来事が、起こってしまった。

 俺の正体が明かされること、そうすれば、彼女たちはいつものように俺と接することが出来なくなるだろう。

 俺が、一体今まで何をしてきたのか。それを知られれば、学院生活は送れない。


 どうする、眠らせてもいいが、後々に延ばすだけだ。

 だが、全てを話す勇気はない。


「どうしたの、カズスケ……」

「師匠もいるの?」

「三人とも、頼むから何も言わないでほしい」

「なによ……」


 拳銃を向ける。

 とりあえず、今は邪魔されるわけにもいかない。

 あとでどうにかなる、そう信じて今は眠ってもらおう。

 怯えたままのクリスに、拳銃を向け、引き金を引く。


「すまん」

「――――調子に乗んないでよねッ!」


 瞬間、クリスが魔術を発動。


 弾丸よりも早く、俺の胸倉につかみかかってきた。


 ツインテールは、いつもの何倍も燃え盛っており、目は俺をじっと見つめてくる。

 その目には、涙がたまっていた。


「アンタはいっつもそうやって、私に何かを隠して!」

「それには……訳が」

「知らないわよそんなこと! 何を隠してようと、アンタは私のパートナー! 分かる!?」

「あぁ、そうだけど……」

「だから、何かあったらまず私に言うの! そして頼りなさいよ!」

「だけど、お前を巻き込むわけにも……」

「カズスケの問題は、私の問題でもある! 互いに寄り添ってこそ、パートナーでしょ!」


 その言葉は、クリスの炎よりも熱かった。

 俺のことに巻き込めない。 彼女に何かあれば、俺はクリスの家族に顔向けできない。責任も取れない。


 だけど、クリスの言葉は頼りたくなるくらい、力強いものだった。

 だから、なぜか良いかなと思ってしまった。

 これが、友情ってものだったのか。


「分かった……力を借りてもいいか」

「そうこなくっちゃ!」


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