第四十三話
風紀委員として活動して一週間。
まだ俺は認められていないらしく、この活動から解放されてはいない。
事件の手がかりを探すだけの放課後に飽きていたので、気晴らしにはちょうど良い。
だが、問題があるとすれば……
「さ、今日も見回りよ、18時までね」
それだけ言って去っていく比巻。別行動ということだろう。
問題はこれ。未だに比巻との距離が縮まらない。
同じ仕事仲間として、仲良くやっていきたいところなのだけれども、どうも難しいようだ。
「愚痴っててもしょうがないな」
梅雨でもないのに大ぶりの雨の音だけが響く風紀委員室でそう呟き、腕章を腕にはめて教室階へ向かった。
エレベーターで降りると、まだ人が多く残っており、生徒たちの喧騒が聞こえる。
見回りといっても、基本は歩き回るだけ。
問題なんてそうそう起きないので、ただ暇な時間だ。
「あ……カズスケ」
「よ、イリス」
そんな時、廊下で偶然出会ったのは儚げな少女であるイリス。
事件が起こった後も、マイペースなのは変わりがないようでいつも通り人形を抱いている。
「そういえば……クリスが……悩んでた」
「悩んでたって……喧嘩のことか」
「そう……ちゃんと話してあげてね」
「もちろんだよ。でも、お前も言えた話じゃないだろ」
「うぐぅ……たしかに……」
「だけど、気にしてくれてありがとな」
「うん……じゃ、またね……」
イリスは、なんだかんだでクリスのことを一番分かっているだろう。だからこそ、クリスのことが心配なんだ。
俺も、早く話さないといけないと思っている。きっと、クリスを傷つけただろうし。
早めに連絡を取る必要があるだろう。
「あ、風紀委員さん!」
イリスと別れて間もなく、別の女生徒二人組に話しかけられる。
どうも、急いでいるようだ。
「はいはい、何か御用ですか?」
「向こうで教室中の窓ガラスが割られていて……」
「全部……とりあえず現場はどこですか?」
連れられてやってきたのは、一年生の教室。
校内の森につながる窓ガラスがすべて割られている。
「こりゃ酷いな」
「現場はここですか?」
俺が到着して間もなく、比巻もやってきた。
現場を見て、状況を察する。
「とりあえず、捜査を始めます。事件発生の時、ここにいたものは?」
「皆、帰宅していたり部活だったりで。偶然、忘れ物を取りに来たらこの状態でした」
「なるほど……目撃者はゼロね」
俺も少し状況分析を始めてみよう。
耐魔力を備えた手袋を付け、様子をあさってみる。
これだけ雑な犯行だ、計画性などは微塵もないだろう。
「ちょっと、勝手に触らないで!」
俺が勝手に捜査をしていると、比巻が止めに入ってくる。
やはり信用されていないからか、自由に捜査をさせてもらえなさそうだ。
どうやら、捜査は比巻がやってくれるようなので、俺は端っこで見ているか。
「あっちにいるって本当ネ!?」
ん? どこかで聞いたことのある声が廊下から聞こえる。
そして、その予想は当たっているはずだ。
だが、予想を上回ってくるとは思わなかった。
直後、激しい崩壊音。
そして、軽快な声がする。
「おー! 和佑ぇ! 会いたかったですネー!」




