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第四十一話

「さて、それでは会議を始めたいと思いますぅ~」


 こうして始まった会議。

 議題は事件についてだったが、新たなデータの分析結果の共有だけで昼休みは終わってしまった。特に俺が発言することもなかったが、この賢者会の雰囲気を知ることはできた。

 これから事件が解決するまでは、参加し続けないといけない以上、早めに慣れるのは大切だ。


「これで会議は終了しますぅ。あと、和佑君と牧瀬ちゃんは少し残ってください~」

「は、はい!」


 うげ……そう思わざるを得ない。

 また色々と追及されるのだろうか。流石に面倒にもなってくる。

 賢者会のメンバーが退出していく中、比巻はさっさと志麻さんのもとへ行っていた。

 さて、俺も覚悟を決めて行くか。


「おっと、これから志麻ちゃんにいびられに行くのか?」


 立ちあがると、そこには背の高い、いかにも外人風の男が立っていた。

 確か、名前はトレル・パクチー。ヨーロッパ圏の出身で、王族か何かの血を引いているとかでテレビで報道されていたのを覚えている。

 会議中は、ずっとコーラを飲んでは小さなピザを食べていた。会議の厳格なイメージを崩していたのは、パクチーさんがほぼ100%だろう。


「いびられるというより、事情聴取ですかね……覚悟はしているので大丈夫です」

「比巻ちゃんもきっびちぃからなぁ、まぁ頑張れよ!」

「はい、ありがとうございます!」


 めちゃくちゃいい人だった。

 外人はフランクな人が多いというのは迷信だと思っていたが、もしかすると本当なのかもしれない。

 または、王族だからこその心の広さか。


「――――まさか虚無の申し子とはな」

「すいません、何か言いましたか?」

「いや、なんでもない。ほら急がないと志麻ちゃんが怒るぞ~」

「あ、はい! ありがとうございました!」


 パクチーさんに別れを告げ、急いで志麻さんの元へ行く。

 志麻さんは感情が一切顔に出ないタイプなのだが、今は分かりやすく黒いオーラを出していた。それもパクチーさんに向けて。


「さて、パクチーには強く叱っておきましょうかぁ~」

「伏見和佑も謝りなさい」

「は、はい! すみません!」


 比巻の圧に負けてついつい謝ってしまった。

 だが、今は無駄に反抗する必要はない。反抗期もずいぶん前に過ぎた。


「いいわよ~、それより本題に移りましょう~」


 座っている志麻さんに向かって、俺と比巻が並んで立つ。


「まずは比巻ちゃん、自己紹介でもしてくれるかしらぁ?」

「わ、私がですか?」

「和佑君にちゃんとしていないでしょう~?」

「その必要性が――――」

「まぁまぁ~」


 志麻さんには絶対に逆らえない様子の比巻。それも脅迫的な従順ではなく、尊敬から来る従順だ。盲信にも近いのかもしれないが、志麻さんにはそれだけの魅力がある。

 くちばしでもつけているように、いやいやこちらを向いて自己紹介を始める比巻。


「比巻 牧瀬、2年D組よ。風紀委員長を担当しているわ――――他にはないわよ」

「十分よぉ、これからの仕事仲間同士、情報は共有しておいた方がいいものね~」

「仕事仲間……?」

「そうよ~、貴方にはぁ……」


 志麻さんは、そういって少しだけ切ると比巻の方をちらりと見る。

 そして、さらっと言い放つ。


「風紀委員に入ってもらいますぅ!」


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