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第二十九話

全体的にルビを振りなおしました。(5/22)

「まさかこんなところにいるとはなぁ!神は俺に味方してるようだ!」


 デスアスクがクリスを壁際に投げ飛ばすのと同時に、指を一度鳴らす。

 直後、クリスの右足がうねる。


「あああぁぁぁあ!」

「ク、クリス……ッ!」


 最悪だ。あの様子じゃ、もう使い物にならない。

 急いで医者に診せないと、治癒魔術も効かなくなって一生使えなくなるかもしれない。

 俺のせいだ。これ以上の被害者を増やせない……!


「さて、これで決着をつけようか」


 階段室から飛び降りてきたデスアスクが、何かを唱え始めると同時に胸のあたりが発光する。

 まさか、まだ何かあるのか……?


「『我が手中にあ(コンプ・ディノ)りし空間(・ラハウム)』」


 腕を振ると、それに連動してデスアスクを中心に更に赤い空間が展開する。

 屋上を半分覆うほどだが、その中に俺とデスアスクがいる。

 これは、結界……というところか?


「第一の結界『我を覆いし(マハト・ヘクサ・)空間(ラハウム)』は魔素を司るが……」


 そういって、近くに落ちていた石ころを拾い上げ、投げる。

 結界内の間は高速で飛んでいくが、結界外に出た瞬間、石ころをピタリと静止した。


「第二の結界『我が手中にあ(コンプ・ディノ)りし空間(・ラハウム)』は時間を司る」

「時間……だと」

「これでお前の協力者は手出しできなくなった、存分に殺り合おう」


 時間を司る……おおよそ、結界内の時間がとてつもなく早くなっているというところだろうか。

 魔術に置いて時間を操るものは数少ない。それは使用難度、そして使用魔力が半端じゃないからだ。デスアスクが使えるのは、学院内の生徒の魔素を吸収しているからこそだろう。

 俺を結界外に置いて奇襲しないのは奴のプライド故か、はたまた慢心か。


「ハハ、こちらから行くぞ!」


 巨体が一気に駆け寄り、身長の半分以上ある拳が俺の体めがけて振り降ろされる。

 村正で応戦するも、パワーが段違いすぎる。あっという間に後方へ吹き飛ばされてしまった。 

 そこは、結界外。


「しまっ――――」

「後ろだぁ!」


 背中にとても大きな衝撃。

 一瞬、脳みそが状況判断を断った。


 次は受け身を取る余裕もなく、前へ転がっていく。


「これまでか?虚無の申し子」

「…………」


 この結界の真髄は、範囲外に出たときに発揮される。

 デスアスクを中心として囲われている結界、デスアスクから距離を取れば確実に今のような奇襲を受けざるを得ない。

 それを避けるためには、必ずデスアスクと距離を詰めていなければならない。

 強制デスマッチもいいとこだ。


「お前は、俺の手でいたぶり殺してやるからなぁ」


 さらに、相手の攻撃方法は強化魔術で跳ね上がった腕力を誇る拳。

 強化系魔術の綻びは、基本的に使用者の魔術起点にある。そう簡単には見つからない。

 純粋なパワーで負けている以上、ジリ貧だ。


「おらぁ!」

「クソッ」


 避ける以外に選択肢が見つからない。

 だが、それでも確実に避けきることは不可能だ。


「脇がガバガバだぞぉ!」

「グハッ」


 重い一撃が脇腹に入る。

 これは防ぎようもない、そのまま体勢を立て直すことも叶わず再び結界外へ吹き飛ばされる。

 立ち上がる動作も許されず、後頭部に重い衝撃。

 顔も体もボロボロだ。


「おいおい、赤子みたいだぞ?ベロベロばぁー、クッハハハハハ」


 クソ……まだ一撃も加えられて――――――待て、あれはもしかして……?

 余裕をかまし、ベロを出して煽っているデスアスク。そのベロの表面には、魔術起点らしき紋様が書かれている。


 これは……逆転の可能性かもしれない。


「お、まだやるのか」


 チャンスは一度きり。

 それにかけるしかない。


「これで終わりだ、オラァア!」


 右腕を振り下ろしてくる。

 それを、加速器を使いジャンプして回避。そのまま腕を伝う。


「なんだと……?」


 左腕で潰しにくるはずだ、それを村正で斬りつける。

 そして、その隙に拳銃で魔術起点を撃ち抜くッ!


「ンダァ!」


 予想通り、左腕を斬りつける。

 そして、右手で拳銃を構え、魔術起点を――――


「――――バレバレだよ、バァーカ」


 右腕の中心に、螺旋が見える。

 それは、空間圧縮のもの。

 村正は、奴の左腕を斬りつけたままだ。今からじゃ間に合わない。

 つまり――――


「潰れろ、『圧縮(Komprim)(ierung)』!」


 俺の右腕は、為す術もなくペチャンコになる。


「う、ぐあぁあああああぁあああああ!」


 そのまま、地面に倒れる。

 見ると、ギリギリ骨と皮で繋がっているくらいだ。高度な治癒魔術がないと、治らない。


「わざと魔術起点を見せたんだよ、それに釣られるとは思わなかったが……クッハハハハ!」


 焦りすぎた。確かに、そこまでの阿呆じゃない。いくら切羽詰まっていたからとはいえ、少しは余裕を持つべきだった。







 俺を中心に大きく紅が広がっていく。

 それは、クリスの焔に似ているようで似ていない、無慈悲な紅。

 だが、それを毛嫌いした、又は好んだのか。

 左手に握られている村正が、全ての紅を吸い込んでいく。

 そして、その後の記憶は残っていない。

もし作品を楽しんでいただけましたら、ブックマーク、評価、感想のほどよろしくお願いします。


モチベがめっちゃあがります。

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