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第三話


「まさか、クリスとイリスのペアが解散するとはねぇ」


 あの後、学院長に連れられて目的だった学院長室へと到着した。なんと俺は真反対の方向へ向かっていたらしい。

 さきほどの場所は、試合用の施設らしい。だから、試合が行われていたようだ。


「さて、それでは改めて入学歓迎するよ、伏見和佑くん」


 部屋には、色々なトロフィーや勲章が飾られている。コーヒーポッドがあるくらいだから、半分自室のような扱いなのだろう。


「君の話は神貫から聞いてるよ、僕のことも名前くらいは知っているだろう?」

「はい、何度か任務の情報提供者で名前が出てきたこともありました」

「それはそれは、神貫にはたっぷり貰っているからね」


 親指と人差し指で円を作る。世界でも屈指の富豪であろうに、まだ金を求めるというのか。


「まずはこの学院システムについて説明しよう。この学院は、魔術育成のために設立されたと知っているね。

 なので、学院内での魔術行使は一切の制限がない。対人で使用しても、それは当事者の責任として処理する。

 そして、一番の特徴は……君もさっき見ただろう?」

「対人の試合……ですね」

「そうだ、我が学院はパートナーと二人組での2on2の対人試合を行っている。それを『Wise Battle』と呼んでいる。

 そして試合結果によって両チームのGSPというものが変動し、学内序列を決定しているのだよ」


 学内序列制度の導入があることで生徒の競争意識を表面に出していくのか。それが魔術戦闘というのは、どうも危険なにおいがするがそれも魔術学院ならではであろう。


「WBさえ知っておけば、他は特に変わったところなんてないさ」

「WBは強制参加じゃないですよね?」

「もちろんだとも、厭戦(えんせん)的な人物とコンビを組めば戦わずして卒業はできる。だが、その後の進学などは変わってくるがね」


 GSPによって、進学先や就職先まで有利になるということか。俺にとっては、進学や就職に興味はないから特に重要なポイントではないか。

 一通り話し終えたのか、席から立ちあがり金庫のようなものをおもむろに開け始める。

 その中には、見覚えのある刀が入っていた。


「これは神貫から預かったものだ。この学院に持ち込むには、少々危険すぎるのでね。検査させてもらっていた」


 手渡された刀には、『検査済み』というテープが貼ってあった。昨晩、見当たらなかったのはこのせいか。


「その刀……村正といったか、実に神貫らしい刀だ。私も危うく死にかけた」

「授業中に携帯してもいいですか?」

「もちろんだとも、人によっては存在自体凶器みたいな生徒がいっぱいいるからね」


 確かに。魔術を行使出来るということは、人を殺す凶器を常に持ち歩いているようなもの。包丁なんか、魔術の前ではつまようじよりも危険性は薄いだろう。

 村正を受け取り、腰に携えると学長室に一人の女性が入ってきた。


「樫原学長、彼が例の転入生ですか?」

「あぁ、彼が伏見和佑だ。伏見くん、彼女が今日から君の担任だ」

「二年E組担任の谷川(たにかわ)メグルです!伏見くん、今日からよろしくお願いしますねっ!」


 教師だというのに、深々とお辞儀する。背の低さも相まってか、子供のように見えてしまうのも致し方ないだろう。

 始業時間まであと少しだ。そろそろ、初めての同級生と出会うのか……。

 また緊張してきた……思えば教官は居ても、教師というのも初めてだ。変にアガッて、自己紹介を噛まないようにしなければ……未悠さんから鎮静剤をもらっておくべきだった。


「さ、教室まで案内します!ついてきてくださいね!」

「は、はい!」


 急いで荷物を持ち、出ていったメグル先生を追いかける。これが、俺の青春への第一歩だ!







「……さぁ、できる限り青春を堪能したまえ、『虚無の申し子』よ」


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モチベがめっちゃあがります。

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