第二十四話
自然界では有り得ないような、赤紫を塗りたくられた空。
草木の匂いや、風も感じない。
これはまさか……アイツが刺客なのか……!?
「おい! 誰かいないか! ここから出せ!」
こんなところにいる場合じゃない。今すぐ出ないと、生徒にも被害が!
檻は簡単に壊れない。異常を発見して、誰かがここまで来てくれるといいのだが。
「ん……これは」
ふと、窓の方に何かが見えた。太陽の光は一切ないが、そこに『何か』がいることは分かる。
小さく、動きが軽やかだ。その『何か』は、檻の外へ出ていき、目の前にある看守室から鍵を持ってきてくれた。
「ありがとう、妖精さん」
これは、シェンメイの妖精だ。きっと、シェンメイが遣ってくれたのだろう。鍵を使い、檻から出る。やはり、外は異様な雰囲気のままだ。
看守室から武器を取り返し、独房から逃げ出す。やはり、この空は見覚えがある。
急いで教室棟の方に向かわなくては。
加速器を使い、およそ一分弱で教室棟の近くまで到着できた。生徒は、ふらふらしており、倒れている人もいる。
「なんでしょうこれはぁ……結界、というところですかぁ?」
「学生ではない、第三者の介入の可能性が高いです」
「志麻さん! 悠馬!」
「き、貴様! もしやこの状況は……!」
良いところに二人がいた。詳しく伝えることは不可能だろうが、生徒達の避難にはうってつけだ。
悠馬が構えるが、それを志麻さんが制止する。
「和佑君から魔力を感じません~、貴方はこの現象を知っていますねぇ?」
「この結界は恐らく学院を覆っている、早く壊さないと大変なことになる」
「大変なこと?」
「結界自体が、魔力を無差別に吸っている。魔素が少ない人間から倒れていくぞ!」
倒れている生徒は、おそらく魔術適性が低い生徒だ。体内の魔素が減りすぎて、一時的な気絶状態に陥っているのだろう。
「確かに、状況はこちらの推測通りだ」
「いったんあなたを信用しますぅ、私たちはどうすればいいのですかぁ」
「学院内に結界の起因があるはずだ。それを破壊してくれ! 俺は別で行く場所がある!」
「あ、待て!」
「伏見和佑! ――――貴方ぁ……何を知っているんですかぁ?」
「話は後だ! アンタ達は急いで起因を探すんだ!」
これで出雲姉弟が生徒たちを何とかしてくれるだろう。
俺は、この元凶を打倒さなければ。
その時、校舎の方で何かが崩れる音がした。
「くそっ」
装備を確認し、校舎の中へ入っていく。
中にいる生徒たちは、ほぼ全員倒れており、意識がある生徒も虫の息だ。
そして、その中には俺を助けてくれた人物がいることにも気が付いた。
「シェンメイ……シェンメイ! 大丈夫か!」
そうだ、シェンメイは夢現流の使い手。魔術適性は低く、魔素の量も少なかった筈だ
強く揺らすと、目を開いた。だが、すぐにでも倒れそうだ。
「んん……和佑、良かった。無事に逃げ出せたのですネ」
「あぁ、ありがとう。シェンメイには大きな恩が出来たな」
「じゃあ……今度デートに――――」
「避けろッ!」
一瞬の静寂から、微かに感じる『殺気』。
シェンメイを抱えて、前方へ飛び込む。
直後、俺たちがいた直上の天井が崩れた。
そして、その土煙の中からおよそ人類では有り得ないだろう巨体の影が見える。
「久しぶりだ……久しぶりだなぁ『虚無の申し子』!」
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モチベがめっちゃあがります。




