第二十三話
「早く吐いたらどうだ、もう二日も経つぞ」
「……腹が減ったな」
「容疑者が文句を言うな」
「お前はもっと優しい方かと思ってたよ」
今日も朝から出雲悠馬の取り調べを受けていた。独房は学院の端にあり、普通なら生徒が来るような場所じゃない。使用されたのも、数年ぶりらしい。
休日を過ごし、今日は授業があるはずだがそれに参加は許されない。面会もほぼ不可能で、許可を得た人のみが通話で面会を少しだけできるのみだ。一度、未悠さんが電話をかけてきた。学院の対応にカンカンに怒っていて、殴り込みに来そうな勢いだったのでなんとかいさめたが。
こんな中に二日も入れられていると、やはり気も滅入るものだ。出雲悠馬は、ここの看守を担っているようで、四六時中監視下だ。最初の丁寧な言葉使いも、囚人に対してはしてくれないようだ。
「全く……午前の取り調べは終わりだ。独房へ戻れ」
「はいよー、お疲れさん」
取調室から引っ張られ、四畳半ほどの石畳で囲まれた独房へ押し込められる。昼ごはんは、麦ごはんにお味噌汁。流石学院の料理だけあって美味しいが、量は多くない。クソマズプリンももちろんついてくる。
数分で食べ終えて食器を返却すると、悠馬が扉を開けた。もう取り調べを始めようっていうのか。
「面会だ、出ろ」
言われた通り、独房の隣にある面会室へ連れていかれる。公衆電話BOXみたいな場所だ。会話内容はもちろん全て記録されてる。
未悠さんか、シェンメイあたりだろうか。そんなに心配しなくても大丈夫なんだけどな。
そう思って電話に出ると、聞きなれた声の人物だった。
『カズスケ?』
「その声……クリスか」
『アンタ、独房に収容されたって本当だったのね』
「なんで収容されたのかは聞かないのか?」
『ええ、志麻先輩から聞いたわ』
「ま、お前もそんな驚かないだろ。わざわざ尾行するくらいだからさ」
『……気付いてたなら、直接文句言えばいいじゃない。悪趣味ね』
「悪趣味はどっちの方だか」
『なによその言い方! こっちだって、アンタが疑わしい行動ばかり重ねるから!』
「はぁ…?」
こいつ、俺や未悠さんの事情も知らないで……
「誰だって知られたくないこともあるだろ! これ以上、踏み込んでくるな!」
ガチャンと、投げつけるように強く受話器を置いた。
そして、静かになって少し落ち着いた。強く言い過ぎたかもしれない。向こうも尾行なんかしているが、気持ちは分からなくもない。
疑いの目で見られることは、多少は分かっていたことだ。この独房も、案外ストレスになっていたのかもしれない。
何も言わずに独房に戻る。少し眠って、落ち着こう。
「僕は学院の方へ一度戻る。脱獄しようなんて馬鹿な真似、しないと思うがやめておくように」
そう言って、悠馬は鍵をかけて去っていく。逃げようにも、装備も何もなければ俺はただの一般人だ。魔術が使えない以上、一般人未満だろう。
目を閉じ、頭の中を整理する。
まず、現在行うべきことは、シェンメイの報告を待つだけだ。痕跡を多く手に入れることに成功したら、犯人まであと数歩というところまで到達できるだろう。そして、可能であれば出雲姉弟が確保した狙撃銃を手に入れること。流出元を突き止めることも、容易になるだろう。
そんな考え事をしていると、段々と眠くなってきた。
疲れを癒すためにも少し寝――――――
その時、時間が止まった。
体は重くなり、窓から見える空は一瞬のうちに赤く染まる。
「まさか……」
俺は、この状況を知っている――――ッ!
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モチベがめっちゃあがります。




