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第十九話

「いくぜ―――――――」


 リックが引き金を引いたとき、一瞬、時が止まった。

 そして、撃鉄が、カチッ、というまでに何時間も経った気がした。


「――――思い出した、ヴェルス商会だ」

「ヴェルス商会っていうと、闇取引大手の?」

「あぁ、あそこにどこからか流れてきたスナイパーライフルがあるって聞いてな。チラッとだけ見た記憶がある」

「その銃はどういうものなんだ?」


 リックがリボルバーを机に置いた。そして、足を組みながら解説をしてくれる。


「そも、弾丸に魔術を乗せるのはそう簡単じゃない。マッハ5弱の速さで飛んでいく弾丸だと、魔術が置いてかれちまうからな」

「だからこそ、魔術師専用の武器が開発された」

「そうだ、例えば」


 リックがバッグから取り出したのは、五丁の拳銃。


「右から二丁は、魔術師専用だ。魔力を用いて火薬を爆発させるから、撃鉄がいらない。その他、無駄な機構を外せるし、逆に付け足すことも可能だ」


 銃の構造は習ったことがあるが、主に弾丸を撃鉄で叩き爆発させることで弾丸に推進力を与えている。その起爆を魔術で補えるのは大きいだろうし、装備の幅も広がる。


「そして、左から二丁は、過去に使われていた銃だ。調整が必要だが、使い勝手がいい。子供でも人を殺せる優れものだ」


 何のジョークか、そんなことを言う。


「最後に、この混合型。これは、銃自体は普通だが、弾薬が違う。弾丸を見てみろ」

「これは……魔法陣か?」

「そうだ、弾丸自体に魔術を刻み、そこに魔素を通すことで弾丸の威力をあげるんだ」


 なるほど、それで弾丸に魔術を乗せることが可能になるのだろう。こうにも必死に弾丸に魔術を乗せたがるのは、単純な威力が上がるからだ。昔は対戦車ライフル数発で壊す戦車も、魔術の質によっては一撃ということもできる。

 しかし、例の弾丸にそのような痕跡はない。ということは混合型ではないということだろうか?


「だが、ヴェルス商会の銃はそうじゃない。弾丸を飛ばす時、同時に魔術も飛ばすんだ」

「魔術を……飛ばす?」

「そうだ、銃に搭載されているシステムを使うと、演算で出された弾丸の速度と同じ速さで魔術を飛ばす。着弾時には弾丸に重なり、実質、魔術が乗せられるということだ」

「なんちゅうやり方だ、まるで機械だ」

「だが、これによって弾丸に乗せられる魔術の質も上がった。火力の大幅な向上が見込めるってとこだ」

「そんなものが日本に、それも俺を狙っているのか……」

「私が出来るのはこれくらいだ、まぁせいぜい頑張れよ」

「いや十分以上だ、ありがとうリック」

「ミズ・カンヌキ、また何かあれば言ってくれ。当分は日本にいるつもりだからよ」


 そう言って、冷蔵庫からいくつかのビールを持っていくと、事務所を去っていった。

 予想外の来客だったが、予想以上の結果をもたらしてくれた。あとは未悠さんに任せてもいいだろう。俺は俺で、まだ学院内の捜査を優先するべきだろう。


「そうだ和佑、村正を見せてみろ」

「はい、いいですけど……」


 言われたまま、村正を手渡す。村正の効果を打ち消すための護符を貼り付け、未悠さんが刀身を注意深く見まわす。使用したのは初日だけだし、特に刃こぼれ等はなかった筈だが。

 少しすると、細い針のようなものを取り出し、鍔のあたりを弄り始めた。村正の詳しい機構を知っているわけではないが、まさかあんなところまで何か仕込んでいるのだろうか。


「相手は相当強大だ、そろそろいいだろう」

「新しい装置でも付け足したんですか?」

「これで調整完了だ」


 渡された刀身を見ても、何か変わったようには見受けられない。重さも変わらず、何かしら機械が付けられたわけでもなさそうだ。


「一体何を?」

「なに、お前は知らなくても大丈夫だ。保険みたいなものだからな」

「は、はあ……」


 よく分からないが、とりあえず悪いものではないだろう。

 明日も、朝から学院に行く予定だ。俺は、一通りの家事を終わらせた後、ベッドに横になって情報を整理していたらいつの間にか寝落ちていた。

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モチベがめっちゃあがります。

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