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返却
それから一ヶ月後事件の処理が終わった狩野はジョニーに証拠品を返しに行った。呼び鈴を鳴らすとジョニーが姿を現せた。
「神奈川県警の狩野です。あの事件の証拠品を返却しにきました」
彼はそう言うとカメラを取り出した。ジョニーは軽い会釈をする。
「態々すまないね」
カメラを渡して狩野は質問をする。
「一つだけ聞きたいことがあります・・」
一週間前狩野は渋谷が自殺した事件の調書を読んだ。そこであることに気がついた。渋谷以外の足跡が二つ検出されたことだ。自殺幇助の可能性があると上層部に話したが、すでに自殺で処理した後だった。彼は独自に再捜査をしているのだ。
「あなたは何者ですか。ただの一般人ではないですよね」
的を射た質問にジョニーは驚く。
「根拠はあるのか」
「通り魔事件の写真と動画です。あれは一般人が撮影したレベルのものではなかった」
ジョニーは笑った。
「知らない方がいいこともある。もう用はないだろう。帰ってくれないか」
狩野はジョニーが強敵だと思った。そしていつか正体を暴くことを決意した。それが渋谷の遺族のためになると信じて。




