目撃 後編
狩野は事情聴取を始めた。彼は十人の目撃者に呼びかけた。
「犯人の特徴を覚えている人は発言してください」
ジョニーは手を挙げた。
「一応犯人の写真を撮りました」
ジョニーはカメラを取り出した。
「この人ですよね。皆さん」
ジョニーはカメラを目撃者全員に見せた。異口同音で「この小太りの黒服の男が刺した」と証言した。
ジョニーは続けて言った。
「それと犯人は車で逃走しました。その一部始終も撮影しました」
ジョニーは全員に見えるように動画を再生させた。目撃者たちは全員「この車で逃走をした」と証言した。
「そのカメラは預かる。皆さんはこの紙に住所と名前を書いてください。お話を今後伺います。書いた人から帰っても構いません」
愛澤とジョニーは調書に記入してサービスエリアをあとにした。狩野は小声で呟いた。
「これで三人目だ」
車に乗り込んだ時、愛澤の電話の着信があった。相手はアズラエルこと喜田だった。
『大変なことになった。通り魔事件の容疑者に我々の組織関係者が浮上した。詳しい話は改めて話す。兎に角東京に来い。待ち合わせ場所は追って連絡する』
二人は行き先を東京に変更した。




