真実 1
その後愛澤は車で三年前の通り魔事件の現場となったショッピングモールに向かった。事件の風評被害なのかはさだかではないが、そこは廃墟になっていた。中には女がいる。
愛澤は後ろから声を掛けた。
「やはりここにいましたか。渋谷可憐さん」
女は驚いたような表情を見せる。
「あなたは私を手当てした人ですよね」
「覚えていましたか」
「あなたが手当てをした所までは思い出しました」
愛澤は質問を続ける。
「そうでしたか。では佐久間翔という男を知っていますか」
その質問に渋谷は首を横に振った。
「いいえ」
「そうですか。これで動機がはっきりしました。もう出てきてもいいですよ」
すると一人の女が出て来た。女は鈴木光子。
「あなたは誰ですか。刑事さんではないですよね」
愛澤は丁寧に自己紹介をする。
「申し遅れました。愛澤春樹。熱狂的な野次馬だと思ってください。佐久間さんも一緒だと思いましたが一緒ではないのですか」
鈴木は笑いながら答える。
「あいつならここに来る前に殺しましたよ」
警察が速く来れば助かるかもしれませんが」
予想通りの答えに愛澤は笑った。
「なるほど。やはり偽りの愛でしたか。今回の事件を利用するための」




