指示
その日の朝は昨日よりも暗かった。天気予報では降水確率が80パーセントになっている。一晩明けて愛澤は考えていた。どのようにして犯人を追いつめるのかを。そしてジョニーに連絡した。
「犯人が分かった。協力してください」
『何をすればいい』
「それは・・」
愛澤の指示にジョニーは驚く。
『本当にそれをするのか』
「どうしましたか。暗殺者の勘が鈍りましたか」
『そうじゃない。それは前代未聞のことだろう。確かにマニュアルには書いてあるがそれを試みた者はいない』
「でもあなたなら可能でしょう」
『分かった。やってみる』
愛澤はパソコンである場所を調べた。
「やはり廃墟ですか。好都合です」
すると携帯が鳴った。相手はウリエルだ。
『おはよう。真相が分かったらしいね。ではあのお方の審判を楽しみましょうか』
「またちょっかいですか」
『うれしかったからね。昨日私の性別を宛ててくれて。それでちょっかいをすれば私の正体が分かるかなと思って。ラグエルは鈍感ですから』
「鈍感で悪かったですね。それで協力してくれませんか。あなたが協力したということは口外しません」
『断るよ。だって遅刻したくないもの』
そして電話は切れた。
「遅刻したくないから不参加か。かわいらしい女の子です」




