対立 後編
『そう。そのシステムで上司を信頼できると思う。答えは信頼なんて出来ないよね。それをすると部下の調べたことという事実を隠蔽出来るのだから。その情報が間違っていた場合は部下が間違っていたと公表するのだろ。アンフェアだと思わないか。だから上司は部下の失敗を死んでも償う必要があると思うんだな』
歪んだ正義。真意が聞きたいと思ったので愛澤は質問する。
「上司を殺したら組織として成立しなくなったとしてらどうしますか」
ウリエルは淡々と答える。
『そもそも組織としては成立していないと思うよ。組織は部下と上司の信頼関係で出来ると思うのよ。それがこの組織では出来ていない』
「だから警察に任せるのか」
『この事件を利用すれば組織を新たに再構築することが出来る。そのためには警察でも利用する。使えるものは使う。これが僕の正義だ』
「正義ですか。隠蔽までして貫き通す正義はないと思いますが」
二人の正義は対立する。組織とは何のか。正義とは何のか。二つの問題を解決しなければ対立は永遠に続く。
『このゲームを支配するのはあのお方だからな。勝てるかどうかはあのお方の正義しだいだな。まあよろしく頼むよ。ラグエル君』
電話は切れた。そしてたった一人のゲームが始まる。




